研究レポート

糖脂質(LPS)素材配合化粧品を使ったアトピー性皮膚炎に対するヒト効果実証試験

糖脂質(LPS)のアレルギー抑制効果については、興味深い知見が集積されつつあります。アトピー性皮膚炎や喘息のようなアレルギーの発症には、遺伝要因とともに環境要因が深く係わっていますが、Braun-Fahranderら及び白川らは、特に幼児期のグラム陰性菌や糖脂質(LPS)への暴露が、アレルギーの発症率と負の相関があることから、近年のアレルギー疾患の増加には、衛生状態の改善が関与しているのではないかと考え、「衛生仮説」と呼んでいます。衛生仮説を説明できるひとつの可能性としてはTh1/Th2バランスのシフトが考えられます。すなわち、免疫系は体液性免疫(Th2型)と細胞性免疫(Th1型)に大別できますが、アレルギー疾患の場合には、Th2型が優位になっていることから、Th1型を促進する自然免疫賦活物質が、免疫バランスを改善できるのではないか、という仮説です。in vivoにおいて、この仮説がそのまま適用できないとしても、疫学的調査結果から考えると、糖脂質(LPS)がアトピー性皮膚炎や花粉症の予防改善に効果を持つ事が予想できます。

糖脂質(LPS)素材(パントエア菌糖脂質(LPS);IP-PA1含有)配合クリームがアトピー性皮膚炎改善効果を持つことは、以前に、アトピー性皮膚炎患者100人を対象としたオープン試験で効果が予測されています。そこで本研究では、プラセボクリームを準備し、体の左右対称にアトピー性皮膚炎症状が出ており、ステロイドなど薬を使っていない4名に対し、片側に糖脂質(LPS)素材を配合した保湿クリーム、片側にプラセボクリームを4週間にわたり朝晩塗布してもらい、皮膚科医の協力を得て、ダブルブラインドで、EASIスコアの推移を調べました。

 

図1 糖脂質(LPS)素材配合保湿クリームによるアトピー性皮膚炎改善効果
(ダブルブラインド・左右比較試験法)

【被験者】 (条件)体の左右対称にアトピー性皮膚炎、2週間前よりステロイド・抗ヒスタミン剤不使用
(人数)4人 (年齢)16歳以上65歳未満、平均31.3歳
【試験品】 A:糖脂質(LPS)素材配合保湿クリーム(糖脂質(LPS)濃度2μg/g)、B:プラセボ
【方法】 1日2回 患部に使用、ダブルブラインド4週間


【調査項目】 1)皮膚所見診察、2)自覚症状アンケート、3)肌表面撮影、4)水分量、水分蒸散量測定
※協力医師:香川大学医学部皮膚科 窪田泰夫 氏、 
※協力機関:香川県産業技術センター食品研究所 大島久華 氏
【調査場所】 NPO法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク連携医療施設 
(財)三宅医学研究所セントラルパーククリニック(高松市)

 

図2にその結果を示します。4人のモニターで使用前のEASIスコア相対値を1として、2週間後、4週間後の相対スコアをグラフ化しています。いずれも改善が2例、糖脂質(LPS)素材配合クリームで顕著な改善が2例という結果となりました。プラセボと試験品でいずれも改善が見られたモニターNo.4と5については、同時に測定した水分量と水分蒸散量の数値が改善しており、クリーム基材の保湿力が改善をもたらしていると思われます。一方、モニターNo.1と3では、基材による保湿効果だけでは改善できない症状を、糖脂質(LPS)が改善していることが伺われます。以前実施したオープン試験の結果とあわせて考察すると、糖脂質(LPS)は、保湿性の優れた良質の基材との組み合わせにより、アレルギー性の肌荒れの改善をもたらすことが期待できます。

 

図2 アトピー疾患部のEASIスコア改善

※EASI (The Eczema Area and Severity Index)スコア:アトピー性皮膚炎診断基準  
  (紅斑、丘疹、鱗屑「りんせつ」、苔癬化「たいせんか」、病変部の占有率)
※香川大学・医学部・皮膚科医師による診断

 

図3 アトピー疾患部の4週間後の肌きめの改善

図3

※二次元皮膚表面画像解析装置ビジオスキャンで撮影

 

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