研究レポート

糖脂質(LPS)素材によるイチゴの感染抵抗性増強

糖脂質(LPS)素材が植物の感染抵抗性をあげる事実については、学術的報告が蓄積されつつあります。報告によれば、(1)効果をもたらす糖脂質(LPS)は、病原菌由来のものである必要はない。(2)効果は、局所的にも、全体的にも現れる。(3)糖脂質(LPS)のLipidA部分だけでなく、コア多糖部分、O抗原多糖部分が関与している。(4)糖脂質(LPS)の種類と植物の種類によって、効果に違いがある。(5)直接的にタンパク誘導するのではなく、プライミングしている。(6)レセプター依存的エンドサイトーシスで細胞内にはいっている模様。(7)レセプターは明らかになっていない等が明らかとなっています。

すでに、我々の研究においても、糖脂質(LPS)素材(パントエア菌糖脂質(LPS);IP-PA1含有)がイネの白葉枯病に対する感染抵抗性を増強することが明らかとなっています。そこで、本試験では、イチゴの主要病であるうどん粉病と炭疽病に対する感染抵抗性増強効果について予備的な検討を行ないました。

図1は、ハウス栽培のイチゴ(さぬき姫)に対し、うどん粉病の自然発症率を調べたものです。無処理、糖脂質(LPS)素材(IP-PA1濃度;10.5mg/ml)、展着剤アプローチB1使用)噴霧、アグリボ(酵母エキス、1000倍希釈)噴霧、およびトリフミン水和剤(農薬、3000倍希釈)噴霧を10日間隔で5回行い、期間中の、それぞれの区におけるうどん粉病の発病小葉率と発病度を比較しています。その結果、糖脂質(LPS)素材は農薬には及ばないものの、無処理区に比較して発病を抑制していることがわかります。この抑制は、微生物薬剤として同種ともいえるアグリボよりも高いことが示されています。なお、図には示していませんが、葉散布とともに葉先カット部分に塗布したものは、噴霧に比較して特に効果に変化がなく、また株元灌注(土への散布)では効果が見られませんでした。

図1 イチゴうどん粉病に対する感染抵抗性増強

図1

 

続いて、イチゴ(さちのか)の炭疽病に対する効果についても検討しました。無処理、糖脂質(LPS)素材(IP-PA1濃度;0.01mg/ml、展着剤アグラー使用)、およびアントラコール(農薬、500倍希釈)を炭疽病菌接種の6時間前に行い、12日後の、それぞれの区における炭疽病の病斑数を比較しました。その結果、糖脂質(LPS)素材は農薬には及ばないものの、無処理区に比較して発病を抑制していることが明らかとなりました。

図2 イチゴ炭疽粉病に対する感染抵抗性増強

図2

 

以上の結果より、糖脂質(LPS)素材は、イチゴの病気に対しても、感染抵抗性を増強することが示されました。

 

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