研究レポート

糖脂質(LPS)によるストレス誘導性免疫低下の回避

ストレスは免疫系を低下させると言われます。これは、ストレスによって交換神経が緊張すると、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が分泌され、このACTHによって副腎(腎臓の上部にある内分泌器官)から副腎皮質ホルモン、すなわち体内ステロイドが分泌されるようになり、さらにこの体内ステロイドが、免疫担当細胞の活性化(もっと厳密に言うと、活性化に必要な遺伝子発現)を抑制することによります。体内ステロイドは、緊張をほぐすための一種の生体防御に働いているわけですが、ストレスが長引くと、免疫系が抑制され、感染や癌発生の危険性が高まります。

精神的ストレスが免疫直を低下させる訳精神的ストレスが免疫力を低下させる訳

ところで、ストレスを受ける前に、予防的に自然免疫活性化物質を投与しておくと、免疫低下を回避できる可能性があります。図1に、この可能性を示唆する試験結果を示します。

鶏にサルモネラに対するワクチンを接種すると、体内でサルモネラに対する抗体が作られ、血液中に検出量が高まります。一方、ワクチン接種の前に、ストレスを受けたと同様な状況にするためデキサメタゾン(ステロイドの1種)を投与しておくと、抗体産生量が有意に低下します。ステロイド/ストレスによって免疫系が抑制されていることがわかります。ところが、デキサメタゾンを投与する前に、自然免疫活性化物質である糖脂質(LPS)(パントエア菌由来;IP-PA1)を経口投与しておくと、完全ではありませんが、抗体産生量の回復が見られます。すなわち、自然免疫活性化物質である糖脂質(LPS)の予防的経口投与は、ストレスへの抵抗性を与えることがわかります。

図1:ストレスによる抗体産生能低下の回避図1:ストレスによる抗体産生能低下の回避

Immune recovery effects of immunopotentiator from Pantoea aggromerans 1 (IP-PA1) on low antibody productions in responce to Salmonella enteritidis vaccine and sheep red blood cells in dexamethasone-treated stress chicken models T. Hebishima, Y. Matsumoto, G. Soma, C. Kohchi, H. Hayashidani, G. Watanabe, K. Taya, Y. Hayashi and Y. Hirota. Journal of Veterinary Medical Science, 72(4):435-442 (2010)

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