ひげ博士の最新免疫学講座

第11回 腸の話(2010年6月 No.11より)

皆さん。体の中で最大の免疫器官はどこか知っておるかな?
実は、腸と言って良い。例えば、リンパ球の60%以上が住んでおり、マクロファージは腸が最も多い。なにしろ、腸は異物の宝庫じゃ。食べ物も異物だが、人間の細胞数60兆個より多い100兆個といわれる腸内細菌がいる。このような環境で異物を制御する免疫が発達しておるのじゃ。それに、マクロファージや樹状細胞と呼ばれるリンパ球に情報を与えている抗原提示細胞は腸から異物情報を取ることに長けておる。
これらの異物に対する免疫細胞の情報入手方法が大きく三通りある。一つ目、腸の粘膜細胞(上皮細胞)が食物由来のタンパク質を取り込んで、抗原提示細胞に受け渡す。二つ目、M細胞という異物を取り込むことに特別に進化した腸の細胞が、テントみたいな空洞もち、そこにマクロファージやリンパ球を抱えておる。腸で分泌される免疫グロブリンIgAと結合した抗原や、腸管では吸収されないような大きな物質も取込りこんで、マクロファージ等に抗原を送っている。三つ目、抗原提示細胞が、果敢に腸の粘膜細胞の間から手を伸ばして、腸管内の異物を積極的に取り込んでおる。体の外に手をだすなぞ行儀が悪いが、情報を取る姿勢は立派なものじゃ。
これらは異物の情報の入り口であるが、同時に、免疫賦活物質の入り口でもある。ある種の細菌(チフス菌、リステリア菌など)はM細胞を利用して体内に潜り込み感染症を引き起こすので、要注意じゃのう。 ひげ博士

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

 

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