ひげ博士の最新免疫学講座

第13回 抗菌物質の話(2010年12月 No.13より)

皆さん。ひげ博士じゃ。今日はグラム陰性菌の糖脂質(リポ多糖:LPS)が病原菌を防ぐ新しい自然免疫のメカニズムを紹介しよう*1。つまり、糖脂質を食べると、腸に侵入したばい菌だけを除く、体を守るすごい仕組みじゃ。
糖脂質の入ったものを食べると、胃を通り、糖脂質は小腸にたどり着く。小腸には絨毛というヒダヒダがあり消化や吸収を制御しておる。このヒダヒダの奥にパネート細胞という細胞がおるのじゃ。この細胞に糖脂質が届くと、この細胞から種々の種類のディフェンシンという抗菌ペプチドを産生する。抗菌ペプチドというのは、細菌から体を守る自然免疫の代表的な短いタンパク質で、細菌の細胞壁を分解したり、細胞に穴をあけて抗菌作用を示す。
ひげ博士さて、パネート細胞の出す抗菌ペプチドのディフェンシン群の仲間でクリプチジン-4と呼ばれるペプチドがなかなかおもしろい働きをしておることが最近わかったのじゃ。腸内には共生細菌がおり、腸の機能の維持に役だっている。でも、腸に病原性細菌が来て悪さをしたら皆さんは抗生物質を飲むが、そうすると腸内では、共生細菌だろうが、病原細菌だろうが排除してしまう。それで、共生腸内細菌がやられておなかをこわしてしまうのはご存知の通りじゃ。ところが、クリプチヂン-4は共生腸内細菌にはほとんど影響ないのに、病原性の細菌には抗菌性を示すのじゃ。どういう仕組みでこうなるのかまだわかっておらんのじゃが、賢いディフェンシンを使って、糖脂質はお腹に優しい抗菌作用を誘導している、ということはわかるのう。

*1: J. Innate Immunity, 2010, Nov. 22, DOI: 10.1159/000322037 
(もう少し詳しいバージョンはコラムNo.2で紹介)

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

 

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