ひげ博士の最新免疫学講座

第15回 肝臓の話(2011年6月 No.15より)

皆さん。ひげ博士じゃ。今日はマクロファージを使った新しい肝臓の治療法を紹介しよう。肝臓は様々な働きをしており体内の化学工場と言われておる。そして、肝臓は人間の中では最も再生能力が高い臓器じゃ。しかし、C、B型肝炎ウイスルや慢性的なアルコール摂取などによって肝臓が持続的に障害され、だんだん繊維化が進むと肝硬変になってしまうのじゃ。日本では30万人ぐらいの患者さんがいると言われている。肝硬変が広がると、だんだん肝臓が機能しなくなり、そうなると、肝移植が最後の治療法になる。
日本では生体肝移植が行われておるが、大変な費用と拒絶反応などの問題がある。その中で、近年、自分の骨髄から採取した細胞を点滴して体に入れるという簡単な方法ながら、すばらしい効果を上げて注目されている治療法がある。そして、つい最近になって、いろいろな種類の骨髄細胞の中でも、マクロファージになる細胞が肝硬変の改善に重要な役割を果たしていることが動物実験で明らかにされたのじゃ(Hepatology, 2011, 53: 2003-2015)。骨髄の細胞からマクロファージをM-CSFというサイトカインで育ててから肝硬変モデルマウスに移入すると、このマクロファージが肝臓で起こっている炎症の質を変えて、その結果、炎症を抑えて、繊維を溶かして健康な肝臓を取り戻るのじゃ。マクロファージの性格をきちんと制御してあげると、難病と言われてきた病気でも治療出来る手法が生まれることを示す一例じゃな。

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

 

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