ひげ博士の最新免疫学講座

第24回 腸内細菌の話(2013年9月 No.24より)

皆さん。ひげ博士じゃ。今月号のLSIN News Letterの”最新免疫学”で紹介されているように、健康な人の便には腸の恒常性を維持する力があるのじゃ。逆に、腸内フローラが多くの疾患によって変化しておる。例えば、炎症性腸疾患の人の腸内フローラはクロストリジウムで減っておる。ところで、クロストリジウムと言えば、ウエルシュ菌と並んで二大悪玉菌として有名じゃが、悪玉なら減るのは体によいはずなのに、なんか不思議に思わんかのう。

それでは、便の中のどの細菌が良いかを調べている東京大学の本田賢也先生の研究を紹介しようかのう。報告(下記文献)によると、健常な人の便を食べさせた無菌マウス(細菌がいないように特別に飼育したマウス)を調べたところ炎症を抑制するT細胞(Treg)が強まることを見つけたそうじゃ。そこで、どんな菌がこれを担っているか調べていったところ、悪玉と言われてきたクロストリジウム属の17種ばかりが炎症抑制効果があることを発見したのじゃ。炎症性腸疾患患者でこの菌が減っておることと一致するのう。

このクロストリジウムはグラム陰性菌で酸素が無いところでないと増えない編性嫌気性細菌の一つで芽胞(熱、有機溶媒に耐性のカプセル状の菌の状態)をつくるという特徴のある菌じゃよ。悪玉菌と言われてきたクロストリジウムの一部はちゃんと体の健康を維持するように働いていたのじゃ。何度も言っておるが、なんでもかんでも善玉・悪玉とする世の中の風潮はもっと反省するべきじゃのう。

文献: Koji Atarashi, et al. Treg induction by a rationally selected mixture of Clostridia strains from the human microbiota. Nature 500: 232–236 (2013).

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

 

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