ひげ博士の最新免疫学講座

第26回 iPS細胞の話(2014年3月 No.26より)

皆さん。ひげ博士じゃ。世の中ではiPSの次にSTAP細胞が賑わっているが、科学とは違う方向にマスコミが騒ぐので残念なことになっておる。さて、マクロファージをiPSで作った仕事が発表されたので紹介しようかのう。iPSとは誘導多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells)の略で、遺伝子を導入して誘導した肝細胞じゃが、iが小文字なのは発明者の山中伸弥先生が世界的に流行している音楽プレーヤiPodにちなんで名付けたとのこと。お茶目な先生じゃな。

さて、これまで、iPSから神経幹細胞、視細胞、表皮細胞、血管内皮細胞、骨芽細胞、肝細胞、生殖細胞など多くの種類の細胞が作られておるが、熊本大学の千住教授はiPSからマクロファージを分化させ、さらに抗腫瘍・抗ウイルス作用を示すタンパク質を持つインターフェロンβを分泌するように遺伝子導入することで、とても強力なマクロファージを作ったのじゃ。そして、免疫不全マウスのお腹の中に広がったがん(癌性播種モデル)に移植したところ、がん病巣の中にマクロファージが集まってきてがんを小さくすることが出来たのじゃ。熊本大学では臨床試験を始める準備をしているとの発表があり新聞でも取り上げられておるぞ。

儂としてはマクロファージを遺伝子導入してiPSから作らなくとも、糖脂質(LPS)を使って体のマクロファージを増やして活性化させる方が好きじゃがのう。

文献: C. Koba et al., Therapeutic effect of human iPS-cell–derived myeloid cells expressing IFN-β against peritoneally disseminated cancer in xenograft models. PLOS ONE, 8: e67567 (2013), DOI: 10.1371/journal.pone.0067567

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

 

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