ひげ博士の最新免疫学講座

第28回 ステロイドの話(2014年9月 No.28より)

皆さん。ひげ博士じゃ。抗炎症剤の通称ステロイドと呼ばれている薬はそもそも体の中で作られる副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を利用したものなのじゃ。とても強力に炎症を押さえる力があるのじゃが、アトピー性皮膚炎などで長い期間使用すると、皮膚が薄くなったり、骨粗鬆症や高血糖、感染症などの副作用も引き起こしてしまうのは皆さんご存じの通りじゃな。この作用には免疫細胞がアポトーシスと呼ばれる細胞死を誘導させることが関係しておる。今日は、ステロイドによる細胞死はマクロファージにも及ぶこと、しかし、LPSで活性化しておくとマクロファージの細胞死が回避出来るという話を紹介しよう。

イスラエルの研究者がNatureグループのScientific Reportsに今年報告したのじゃが、骨髄細胞をマクロファージに分化させてデキサメタゾン(合成ステロイド)と培養すると、30%がアポトーシス(細胞死)してしまう。ところが、LPSで活性化しておくとマクロファージは細胞死をほとんど回避出来る。その仕組みとして、ステロイド抑制型の受容体がLPSで誘導される可能性が示唆されておるのじゃ。これまで、LPSは不思議とステロイドと併用しても皮膚の状態を改善する結果があることが知られていたが、LPSの有用な理由が、また見つかったようじゃのう。

文献: Resistance of LPS-activated bone marrow derived macrophages to apoptosis mediated by dexamethasone Yasmin Ohana Haim, et al. Scientific Reports 4 : 4323, (2014). DOI: 10.1038/srep04323

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

 

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