ひげ博士の最新免疫学講座

第35回 腸内フローラの話(2016年6月 No.35より)

皆さん。ひげ博士じゃ。御存知のように、近年、腸内細菌叢(フローラ)が生活習慣病と深く関連することが多くの研究から示されておる。その中で脳の発達にも腸内フローラが関係しているということが報告されたので、紹介しよう。まず、体にまったく菌がいない無菌マウスは行動が多動であり、不安行動が低下することが知られており、腸内細菌からの情報が脳の発達に影響しておるとのことじゃ(PNAS, 108: 3047-3052, 2011)。さらに、福井大学の栃谷史郎先生らが今年のPLOS One (下記文献)に、抗生物質を投与して腸内細菌を乱した母親マウスから生まれた子供は活動が低下していることを報告したのじゃ。簡単に説明すると、吸収しにくい抗生物質を妊娠中の母親マウスに一週間投与すると、便の細菌数が30分の1に低下し、細菌叢の種類が変化し、体重増加が低下する。この母親から生まれた子供は、生後一週間は体重が増えにくく、便の菌叢が母親に類似していて、行動性が低下するとの事じゃ。

腸内細菌が行動に影響する、つまり脳の活動に影響を与えておる。また、母親の腸内細菌が子供の腸内細菌にも影響する可能性があることが示されたのじゃ。子供の健康にはお母さんの腸内フローラを整えることも大事じゃな。

文献: Tochitani S, et al. Administration of Non-Absorbable Antibiotics to Pregnant Mice to Perturb the Maternal Gut Microbiota Is Associated with Alterations in Offspring Behavior. PLoS One. 2016 11: e0138293. doi: 10.1371/journal.pone.

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

ひげ博士

 

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