ひげ博士の最新免疫学講座

第37回 傷の治りの話(2016年12月 No.37より)

皆さん、ひげ博士じゃ。わしもその一人じゃが、怪我をした時にLPS入りのクリームを塗ると、とても傷の治り早いことを経験している方も多いと思う。実は、LPSが傷の治りを早くすることはいくつかの論文でも報告されておるので、紹介しよう。怪我するといえば皮膚じゃが、その表皮細胞(文献1)や、コンタクトレンズや砂埃で傷つきやすい目の角膜の上皮細胞(文献2)などは、傷つくとLPSの受容体であるトル様受容体(TLR4)の発現が増加してくるそうじゃ。そうするとLPSに対する感受性が高まり、LPSとよく反応してサイトカインが産生され、その後にマクロファージなどの免疫細胞が集まり傷の修復が進むのじゃな。一方、LPSが働かない(LPS受容体の欠損した)マウスは傷の治りが遅いことも紹介されておる。

わしが興味深く思うのは、普段の健康な状態ではLPSに対する反応性はそこそこであっても、体が傷ついた所でのLPSに対する反応性は高まるようになっていることじゃ。つまり、体は必要なときには効率よくLPSが利用できる優れた仕組みが準備されているというわけで、なかなか自然はよく出来ているのう。

(1) Lin Chen, et al., Toll-like receptor 4 has an essential role in early skin wound healing. J Invest Dermatol, 133: 258-267 (2013). (2) Medi Eslani, et al., The role of toll-like receptor 4 in corneal epithelial wound healing. IOVS, 55: 6108-6115 (2014).

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

ひげ博士

 

▲ページのトップへ