免疫は、普段ウイルスや細菌から私たちの身体を守るように機能しています。そして、身体の中の異常に気付いて、それを正常に戻すこと、つまり身体の調子全体を整えるシステムです。
この免疫に異常が起きると、身体に不調があらわれたり病気を発症したりさまざまな問題を引き起こします。そこでここでは、免疫異常とはどういったものなのか、免疫に異常が起きるとどのような疾患を発症したり、症状が現れたりするのかについて解説します。
免疫異常とは？代表的な3つの病気と症状
免疫の役割の一つは、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原菌や、がん細胞などの異物に免疫細胞が反応し、攻撃して身体を守ることです。
そしてこの免疫に何らかの原因によって異常が起こり、感染症にかかりやすくなったりアレルギー反応を起こしたりする状態のことを免疫異常と言います。
免疫不全
免疫が正常に機能しなくなった結果、身体の防御力が低下した状態を免疫不全と言います。体内に侵入したウイルスや細菌などを追い出すことができなくなるため、感染症にかかりやすくなるだけでなく、病気が長続きしたり再発したり、合併症によって重症化したりします。
免疫不全症は、遺伝によって生まれたときから免疫遂行因子が欠如している原発性免疫不全症と、後天的に免疫力が低下する続発性免疫不全症に分けられます。
原発性免疫不全症は、一般的には乳児期や小児期に多く発症します。生まれてすぐに細菌やウイルス、真菌による感染症を起こしやすく重症化しやすいため、肺炎や中耳炎、髄膜炎、膿瘍などを繰り返します。
続発性免疫不全症は通常、白血病や悪性リンパ腫、HIV感染症、糖尿病などの長期治療が必要な重い疾患や、抗ガン剤やステロイドなどの免疫抑制作用のある薬や放射線などによって引き起こされると考えられています。
自己免疫疾患
普段わたしたちの身体は、外部から侵入するウイルスや細菌などの異物に対して免疫反応を起こしています。しかし何らかの原因により免疫に異常が起きると、自分の体内にある成分や細胞を異物だと誤認してしまい、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまうようになります。この状態を自己免疫疾患と呼びます。
代表的な疾患には関節リウマチ、バセドウ病、1型糖尿病、全身性エリテマトーデス、血管炎などがあります。
原因はいまだ明らかになっていませんが、タンパク質などの体内にある正常な物質がウイルスや細菌によって変性したり、異物に似た構造の体内成分に反応してしまうことが原因の一つだと推測されています。
アレルギー反応
免疫機能に異常が起こることにより、通常わたしたちの身体にとって無害な物質に対しても免疫が過剰に反応し、自分自身の身体を傷つけてしまうことをアレルギー反応と言います。
アレルギーの原因となる物質（アレルゲン）には花粉、ダニ、ハウスダスト、食物、動物、薬などがありますが、アレルギー反応を起こすかどうかは人によって異なります。
通常、アレルギー反応が起こると目のかゆみや鼻水、くしゃみ、皮膚のかゆみや発疹などが発生します。特に強いアレルギー反応が起きると複数の臓器や全身に症状が表れ、この反応はアナフィラキシーとよばれ、命にも関わります。
免疫異常の治療には「免疫抑制療法」
自己免疫疾患や、アレルギー疾患、リウマチ性疾患などの免疫異常によって引き起こされる症状や疾患、臓器移植後の拒絶予防には「免疫抑制療法」が用いられます。
免疫抑制療法では、病気を発症している臓器の炎症を抑えるステロイド薬や、免疫機能の過剰な働きを抑える免疫抑制薬を内服します。
免疫異常の治療中は感染症に注意が必要
免疫抑制療法で免疫抑制薬を使用すると免疫力が低下し、ウイルスや細菌に対する防御力が弱まるため、感染症やガンを発症するリスクが高くなります。そのため、日頃からマスクの着用や手洗いうがいをするなど感染症予防を心がけましょう。
また、予防接種をおこなうと免疫細胞が抗体を作るため感染症にかかりにくくなり、感染したとしても軽度の症状に抑えられます。しかし免疫抑制療法中は生ワクチンによる予防接種はできません。
LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。