体の免疫機能を高め、健康な体を作るLPS。そのLPSと一緒に摂ると相乗効果を発揮するのが乳酸菌です。
そこでこの記事では、LPSと乳酸菌が一緒になるとどのような相乗効果が起こるのかについて紹介しましょう。
この記事の目次
NK細胞を元気にする
LPSと乳酸菌を一緒に摂ることで、NK(ナチュラルキラー)細胞をより元気にする相乗効果があります。
NK(ナチュラルキラー)細胞とは?
NK細胞とは、ナチュラルキラー(生まれついての殺し屋)という名前の通り、がん細胞やウイルスを高い殺傷能力で退治する免疫細胞です。殺し屋という物騒な名前ながら、体にとっては頼もしいヒーローということになります。
NK細胞はいつも全身をパトロールして、がん細胞やウイルスに感染した細胞を見つけては攻撃して排除しています。
NK細胞が元気であればあるほど体はがん細胞やウイルス感染から守られ、健康を維持できるというわけです。
LPSだけでもNK細胞は元気になる
LPSは、体のあらゆる組織に存在するマクロファージを活性化し、免疫力を高めることがわかっています。
活性化されたマクロファージは「IL-12」というサイトカイン(タンパク質の一種)を作り出しますが、この「IL-12」は、NK細胞を元気にする働きがある物質です。
そのため、LPSだけでもNK細胞は元気になります。
乳酸菌を一緒に摂れば効果が高まる
LPSだけでもマクロファージは活性化されますが、相性の良い乳酸菌と一緒に摂取することで相乗効果でより高い効果が期待できます。
LPSと乳酸菌はどうして相性がいいのでしょうか?
LPSと乳酸菌の主成分のペプチドグリカンはどちらもマクロファージと結合しますが、それぞれマクロファージのレセプター(受容体)が異なります。
- LPS→マクロファージのレセプター「TLR4」と結合
- ペプチドグリカン→マクロファージのレセプター「TLR2」と結合
LPSと乳酸菌は認識されるレセプターが異なるため、一緒に使うことでマクロファージにはいろいろな入り口から刺激が入り、活性の効率が良くなるというわけです。
感染症に強い体になる
LPSと乳酸菌の組み合わせは、ワクチンの効果を高める働きもします。
ワクチンとは?
私たちは細菌やウイルスの感染を防ぐため、ワクチンを打ちます。インフルエンザのワクチンを毎年接種する人も多いでしょう。
ワクチンは病原体から作られた無毒化ないし弱毒化された抗原を投与するもの。投与することで体内の病原体に対する抗体が作られ、感染症に対する免疫ができあがります。
抗原と抗体をわかりやすく説明したものがこちらです。
抗原 | 細菌やウイルス、花粉、卵、小麦など、免疫細胞が異物と判断して攻撃する物質 |
抗体 | 体内に入った抗原を排除するために作られるタンパク質の総称 |
LPSと乳酸菌の組み合わせがワクチンの効果を高める
このワクチンにLPSと乳酸菌が加わると、抗体の量や質が高まるとされています。
NK細胞の項目で説明した通り、LPSと乳酸菌は免疫細胞で認識されるレセプターが異なります。
一緒に摂ることで多様な入り口からの刺激が起こり、抗体の質が良くなるわけです。
LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。