「LPS」はグラム陰性細菌という種類の細菌の外膜を構成する成分です。免疫力アップに影響を与えるとして注目されていますが、実はLPSは私たちとってとても身近な存在なんです。たとえば毎日呼吸している空気や何気なく歩いている土の中、そして海の中、さらには食べ物にも……。そこでここでは、LPSがどんなところに存在しているのか詳しく解説します。
LPSは身近にある!
LPSは私たちの生活空間のいたるところに存在しています。そもそも、LPSはグラム陰性細菌という種類の細菌の外膜を構成する成分です。細菌というと体に良くないようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、土には窒素やリンが含まれており、これらを土の中の細菌が植物が利用しやすい形に変えて植物の生育を助けるという働きをすることもあります。
グラム陰性細菌が存在する土の中で育つ根菜や野菜に、LPSが多いことがわかっています。また、海藻にも多くのLPSが含まれます。このようにLPSは多くの食品に含まれており、それを食べる私たちの腸内にもLPSが存在しています。さらにLPSは空気中にも漂っています。このように、実はLPSは私たちにとってとても身近な存在なのです。
LPSが多く存在する場所
LPSはどのようなところに、どのように存在しているのでしょうか?くわしく見ていきましょう。
土の中
土の中には細菌がたくさん存在しています。これらの細菌類は虫の死骸や落ち葉、動物の糞尿などの有機物を分解し、植物が育ちやすい土壌に整える働きをすることもあります。そのため、多種多様な細菌がいる土ほど良い土壌、と言うこともできます。もちろんその細菌の中にはグラム陰性細菌も含まれるため、土の中で育った野菜は、必然的に多くのLPSを含むことになります。
海の中
海の中にも土がありますし、海中にも細菌が漂って存在しています。このような海の中で育つ海藻類にも、LPSが豊富に含まれています。
空気中
意外かもしれませんが、LPSは空気中にも漂っています。LPSもともとは土があるところに存在しているので、自然豊かな森や田畑がある場所の空気にはLPSが多く含まれているのです。
しかし近年では、土があるところが減ってきて(自然破壊が進むにつれて)以前よりLPSを摂取しにくくなっているといわれます。普段自然と触れ合う機会がない方は、緑が豊かな公園などで過ごしてみるといいかもしれません。
LPSが多く含まれている食材
LPSは食事から摂取することができます。LPSが多く含まれると言われている食材について見ていきましょう。
野菜
土で育つ野菜にはLPSが多く含まれています。とくに土の中で育つ根菜類はLPSが豊富といわれますが、葉物にも含まれています。おすすめしたいのは次のような食品です。
- レンコン
- ゴボウ
- 芋類
- 大根
- ほうれん草
- キャベツ
- レタス
- 白菜
また、調理法を工夫すると効率よく摂取できるので、調理時には次のような点に注意しましょう。
・LPSは土の中に存在しているので、野菜の土に触れる部分にLPSが多く含まれています。レンコンや大根などの根菜類はなるべく皮を残したまま食べるようにしましょう。
・LPSは熱に弱く、180℃以上に加熱すると壊れてしまいます。長時間煮込んだり油で揚げるなどはせず、生のまま食べるか、軽く火を通す程度にするのがおすすめです。
・LPSは水に流されやすい性質があるため、あくぬきなどで水にさらす時間はなるべく短くし、乾燥しいたけのような乾物は戻した汁ごと調理するとLPSを効率よく摂取できます。
なお、農薬や化学肥料はグラム陰性細菌ひいてはLPSの減少にもつながるため、より多くのLPSを摂取したい方は、無農薬野菜を選ぶといいでしょう。
海藻類
海の中で育つ海藻類は、農薬や化学肥料を使われることなく育つため、LPSが豊富です。サラダや汁物、煮物などで毎日取り入れてみましょう。特におすすめなのは次のような食材です。
- もずく
- ワカメ
- ひじき
- メカブ
- のり
穀類
穀類の場合、特に糠や胚芽などに多くのLPSが含まれています。そのため、精米するとLPSが失われてしまうので、LPS摂取の点から米を選ぶ時はなるべく糠や胚芽がついたままの玄米がおすすめです。LPSが豊富な穀類には次のようなものがあります。
- 玄米
- 精製していない小麦やライ麦
- 十割蕎麦
LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。