人の体では、毎日数千個ものがん細胞が発生していると言われています。それにも関わらずがんを発症しないのは、体の免疫力ががん細胞を退治しているためです。ここでは、がん発症のメカニズムや、がん予防に大きく関わる免疫力を高める方法を詳しくご紹介していきます。
この記事の目次
健康な人の体内にもがん細胞は毎日生まれている!
がんは、身体の細胞の遺伝子に異常が起こり、細胞ががん化することで発生する病気です。このがん細胞は分裂・増殖を繰り返して大きくなりますが、がん検査で確認できるほどの大きさ(1㎝程度)になるまでは10〜15年はかかると言われています。
一方、ある程度の大きさになるとがん細胞は急速に増殖し、数年で命を脅かすほどの大きさになります。大きくなったがん細胞は、周囲の正常な細胞が必要とする栄養素を奪ったり、血管やリンパ管を通って臓器に転移することで、次々と身体をむしばんでいきます。
実は、人間の身体では毎日数千個ものがん細胞が発生していると言われています。その一方で、私たちの身体には、がん細胞を退治する機能も備わっています。このような、身体に侵入した病原体やがん細胞などの異物を排除することで、身体を正常な状態に保つ力を「免疫力」と言います。
免疫は、体内に存在する様々な免疫細胞が働くことによって機能しています。がん細胞を攻撃する主な免疫細胞には、「ナチュラルキラー(NK)細胞」と「キラーT細胞」があります。
NK細胞は、体内に異常が無いか常にパトロールしている免疫細胞で、がん細胞を見つけると単体で攻撃を開始することができます。その一方、キラーT細胞は、がん細胞を見つけた他の免疫細胞から指令を受けることによってがん細胞を攻撃します。
免疫機能をすり抜けてがんを発症するのはなぜ?
免疫力の低下により、免疫細胞ががんに対処しきれなくなると、いわゆるブレーキが効かなくなった状態になり、がん細胞は増殖し続けます。
また、がん細胞が増殖した人の体内では、免疫細胞の働きを無力化させる「免疫抑制細胞」が増殖することが明らかになっています。この免疫抑制細胞は、健康な人の身体にも存在しており、免疫細胞が過剰に働き過ぎないように抑制する機能を担っています。
しかし免疫抑制細胞が増殖しすぎると免疫力が低下するため、がん細胞への攻撃力が弱まりがんを発症してしまうのです。
がんとたたかうための免疫力アップのポイント
がんの発症を予防するには、免疫力を高めてがん細胞への攻撃力をアップさせることが大切です。ここでは、免疫力アップのポイントをご紹介していきます。
リンパ球数を上げる
リンパ球とは、白血球内に存在する免疫細胞の一種で、病原体やがん細胞から身体を守る働きを持っています。がん細胞を攻撃するキラーT細胞も、このリンパ球に分類されます。
血液中のリンパ球数の正常値は、成人で26〜46%(1500/μL)以上とされています。そのため、リンパ球数がこの値より低ければ、免疫力が低下している状態だと言えます。また、抗がん剤治療によってリンパ球数が1000/μL未満になると抗がん剤や放射線治療の効果が低下すると言われています。
日常生活においてリンパ球を増やすには、食事を工夫することが大切です。リンパ球を増やすのに効果的な栄養素には、タンパク質、ビタミン、ミネラル、魚の油(EPA・DHA)などが挙げられます。また、抗炎症物質のビタミン、ファイトケミカル(野菜や果物などの植物性食品に含まれる色素、香り、苦み、渋みなどの成分)を摂ることで、リンパ球を減らす原因となる炎症を抑えられます。そのため、大豆や豆乳、豆腐などの大豆製品、肉や魚はリンパ球を増やすのにおすすめの食材です。
体を温める
体が冷えると血管が収縮し、血液内の免疫細胞の働きが低下してしまいます。免疫力が正常に保たれる体温は約36.5℃で、体温が1℃下がると免疫力が30%低下すると言われています。そのため、運動をしたり湯船に浸かったりすることで体を冷やさないように心がけましょう。
運動
運動をすると、体が温まり血液中の免疫細胞が活性化され、免疫力アップが期待できます。
人の体には「交感神経」と「副交感神経」という2つの自律神経があり、これらがバランスよく働くことによって正常に機能します。交感神経が優位になると、筋肉が固くなって血管が収縮されるため、免疫力が低下すると言われています。交感神経は過度な運動によって優位になるため、自分がきもちいいと感じる程度の適度な運動を心がけるようにしましょう。
また、人間はストレスを感じると、免疫細胞を傷つける活性酸素を体内で発生させたり、喉や鼻などの粘膜に多く存在する免疫成分である「IgA抗体」の分泌量が低下すると言われています。軽い運動は、血管を拡張させて副交感神経を優位にするため、ストレス発散や体をリラックスさせて免疫力を高める効果が期待できます。
がんの免疫療法とは
免疫療法とは、体に備わる免疫機能を利用してがんを攻撃する治療法です。免疫療法は、がん細胞を攻撃するための免疫細胞を活性化させる方法と、免疫抑制細胞の働きを妨げて免疫細胞を正常に働かせる方法の、大きく2種類に分けられます。
このような免疫療法は、体力があり免疫機能の衰えが少ないがんの初期段階にて、より効果が発揮されます。
LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。