LPSは体の免疫細胞を活性化する効果が確認されています。細菌やウイルスを攻撃するマクロファージを活性化するため、コロナやインフルエンザなどのウイルスから体を守ることも期待できます。
LPSはどのようにしてウイルスの感染を予防するのか、そのメカニズムを紹介しましょう。
この記事の目次
LPSのインフルエンザに対する効果
LPSは体の免疫機能を担うマクロファージを活性化します。マクロファージは体中に存在する免疫細胞で、ウイルスに感染した細胞を見つけては攻撃を行い、感染から体を守ってくれる頼もしい存在です。
活性化したマクロファージはインフルエンザのウイルスに感染した細胞をすばやく見つけ、排除してくれます。
LPSのインフルエンザに対する効果はそれだけではなく、次のような働きもあります。
- インフルエンザAウイルスの活性を抑える
- ワクチンの効果を高める
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
LPSはインフルエンザAウイルスの活性を抑える
もともと、腸内にある細菌は他の免疫細胞と協力してウイルスを攻撃する役目を果たすもの。免疫に関わる細胞の多くは腸に存在していて、腸は体の中でも最大の免疫器官とされているのです。
研究では、腸内細菌がインフルエンザAウイルスの働きを弱める効果があることが解明されています。
そして、この効果は生きた腸内細菌だけでなく、LPSからも得ることができるとわかりました。
LPSがインフルエンザAウイルスの働きを弱める効果は、37度以上でより活発になることもわかっています。
このようなLPSの効果は、インフルエンザ感染の予防や治療に役立つもの。家畜や豚養殖でのインフルエンザ予防に使えれば、抗生物質を使わず安全に対策ができるようになるでしょう。
LPSはインフルエンザワクチンの効果を高める
LPSは人の腸内でインフルエンザAウイルスの活性を弱めるだけでなく、ワクチンの効果を高める働きもします。
ワクチンとは、病原体を無毒化あるいは弱毒化した医薬品です。投与することで病気に対抗できる抗体を作り、感染を予防。万が一感染しても症状が軽くて済みます。
インフルエンザのワクチンの場合、インフルエンザウイルスの成分を投与するだけでは抗体が効果的に作れません。ワクチンがあまり効かないという事態もありえます。
そのため、「アジュバンド」と呼ばれる効果を高めるための補助剤が必要になるのです。
このアジュバントとして、LPSが最高の役割を果たします。
動物実験でも、ワクチンとLPSを一緒に与えた場合、ワクチンだけのときよりも抗体がより多く作られたという結果が出ています。
LPSの摂取による効果を確認できたことで、将来はLPSを使ったワクチンが開発されるのも夢ではありません。
LPSはコロナ感染を予防・感染からの回復を早める
中国の武漢で発生した新型ウイルスのコロナは、またたく間に世界中に広まってしまいました。新型ウイルスは抗体を持たない人が多く、2020年7月現在、まだワクチンも開発されていません。
しかし、体にはウイルスと直接戦う自然免疫があります。自然免疫とはマクロファージやNK(ナチュラルキラー)細胞などで、これら自然免疫には抗体があるかどうかには関係ありません。
抗体が作られなくても、自然免疫が活発に働いていれば新型ウイルスに感染しにくく、万が一感染しても回復が早いとされています。
LPSは自然免疫のマクロファージと結合し、活性化する働きがあります。
マクロファージは体内のあらゆる組織や臓器に存在し、ウイルスに感染した細胞を見つけては排除するもの。新型ウイルスのコロナも逃しません。
さらに、LPSは「インターフェロンβ」という、ウイルス感染を抑える物質を生み出す役割も果たします。
このような働きをするLPSを普段から食品で摂取することが、コロナ感染の予防や早期回復につながるといえるでしょう。
LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。