免疫美容という言葉をご存知でしょうか?免疫美容とは、肌が本来持つ免疫力を機能させることで、美しく健康的な肌の状態を保つことを指します。この記事では、肌の免疫機能、肌の免疫を高める上で大切なポイント、美容法についてご説明していきます。
この記事の目次
肌にも免疫機能がある!
免疫とは、体の調子を整えるシステムのことです。たとえば、ウイルスなどの異物から体を守ったり、体内で死亡した細胞、がん細胞などを処分したり、傷ついた細胞を修復したりする働きがあります。
免疫機能は肌にも備わっており、免疫力が下がればほこりや花粉などの刺激の影響を受けやすくなってしまい、炎症や肌荒れなどの原因となります。そうならないように、肌でも免疫細胞が活躍しています。
肌免疫の中でポイントの一つとなるのがランゲルハンス細胞の働きです。ランゲルハンス細胞は表皮に存在している細胞で、異物の侵入を察知します。このランゲルハンス細胞には、他の細胞に指令を出す機能と、肌を守る機能の主に2つの機能があります。
ランゲルハンス細胞の役割①細菌や有害な化学物質を発見・排除する
ランゲルハンス細胞の役割の一つが、細菌やウイルスなどの有害な物質や、花粉、ちり、ほこりなどのアレルギー物質を発見し、排除する働きです。ランゲルハンス細胞は枝を伸ばしたような形状をしており、この触手が異物を感知して、他の免疫細胞へ異物を排除するように働きかけます。この指令が全身の免疫細胞に行き渡ることで、異物への攻撃が開始されます。
ランゲルハンス細胞の役割②紫外線や乾燥などの刺激に対する反応をおさえる
ランゲルハンス細胞は刺激への反応を沈静化する役割も担っています。肌は紫外線や乾燥など、外部からさまざまな刺激を受けています。紫外線や乾燥などに対して肌が度々過剰に反応していると、慢性的な炎症を起こしてしまい、肌へのダメージが大きくなります。そこでランゲルハンス細胞が刺激に対する反応を抑えることで、肌をすこやかに保っているのです。
肌免疫を保つ美容法とは?
肌免疫を保つためには、普段のスキンケアから気を配っていきましょう。まずは以下のようなポイントを意識してみませんか?
石油系の界面活性剤配合の製品を使わない
化粧品やシャンプー、洗剤などには界面活性剤が入っていることが多いです。油と水のように本来であれば混じり合うことのない物質を混ぜ合わせる働きがあり、これによって汚れを取り除くことができます。
なかでも石油系の界面活性剤が含まれている製品は、高い洗浄力が期待できる一方で、肌の角質を溶かしてしまうという面もあります。さらにランゲルハンス細胞の触手はリン脂質であり、石油系界面活性剤はリン脂質も溶かしてしまうため、肌免疫の低下につながります。
弱アルカリ性の製品がおすすめ
それではどのような成分であれば肌免疫にとって良いのかという点ですが、結論から言うと弱アルカリ性の製品がおすすめです。
酸性とアルカリ性は逆の性質であることから、強いアルカリのものは弱酸性である人間の肌にとって刺激が強いということになります。ただし、皮脂の多い肌はより酸性に偏っており、そこに酸性よりの製品を使用してしまうことで、皮脂が酸化して炎症を起こす可能性もあります。したがって、アルカリの性質が弱い弱アルカリ性の製品であると、肌への刺激が最低限に抑えられます。
アミノ酸配合製品もおすすめ
肌免疫において重要な役割を果たすランゲルハンス細胞ですが、日々の生活の中で紫外線のダメージを受けたり、加齢などで少しずつ減少していきます。ただ、最近の研究では、複合アミノ酸という成分が、ランゲルハンス細胞の活発化に有効であることがわかってきました。
複合アミノ酸とは、元肥(植物などを植える時に事前に与える肥料)として知られている物質で、作物の抵抗力を高めるために使用されることが現在では一般的です。この複合アミノ酸を継続的に肌に供給することで、免疫細胞を働かせ、結果的に肌トラブルから肌を保護してくれることが期待できます。そのため、アミノ酸配合の製品を使うのもおすすめです。
美容のためにも免疫力アップを!その方法とは
美容のためにも免疫力をアップさせる必要があります。そこで、免疫力をアップさせるために大切なポイントを4つご説明していきます。
食事で腸内環境を整える
腸には免疫細胞が多くいるため、免疫においては腸内環境を整える食事が重要なポイントとなります。腸の働きをサポートする栄養素として、まずは食物繊維を意識して摂取しましょう。ごぼうや大麦、かぼちゃ、昆布などを食事に取り入れてみてください。さらに、腸内環境を整える、いわゆる善玉菌と呼ばれる菌を増やすために、ヨーグルトやチーズ、漬物などの発酵食品も合わせて食べるとよいでしょう。
もちろん、美容、健康のためにはバランスの良い食事をとることが大前提です。美容にいい栄養素としては、ビタミンA、C、Eや、ミネラルなどが挙げられます。ビタミン類は肌や細胞の酸化を防いだり、代謝を高めたりし、ミネラルは皮膚の健康を守ります。
質の高い睡眠
免疫力アップのためには質の高い睡眠をとることが必要です。睡眠中には、成長ホルモンやメラトニンといったホルモンが分泌されます。メラトニンには睡眠を促進する役割があり、体をしっかりと休ませて免疫力アップにつなげてくれる物質です。また、成長ホルモンは、日中に受けた紫外線などの刺激から肌を回復させようと働くものです。
質の高い睡眠をとるには、就寝前3時間以内にはなにも食べないことや、寝る前にお風呂に入り体を温めること、そして8時間程度の睡眠時間を確保することなどを意識しましょう。
適度な運動
運動をして筋力がついてくると、基礎代謝(カロリーを消費する力)が高まり、体温も上がりやすくなります。体温が上がると血流もよくなり、免疫機能の中でも大変重要となる白血球などの免疫細胞が体を循環しやすくなります。ただし、激しい運動は免疫細胞を減らし、かえって免疫力を低下させてしまいます。具体的には、心拍数に対し、40〜70%程度の強度の適度な運動を心がけましょう。
ストレス解消
ストレスは、体内の環境を調整してくれる自律神経という神経との関係が深いです。自律神経は交感神経と副交感神経という二つの神経から成り立っており、体が活動的に動いている時には交感神経が働き、逆に体がリラックスしている時には副交感神経が働いています。ストレスがかかっている状況下においては、交感神経が働いており、体が休まらず疲れが出て免疫力低下につながります。一方で、リラックスして副交感神経が働いている状況であれば、免疫細胞であるリンパ球が増加することで、免疫力アップにつながるのです。
また、ストレス下で分泌されるストレスホルモンは、くすみやシワの原因となる肌の酸化を促進させてしまうほか、血管を収縮させることで血流を悪化させてしまい、栄養素や酸素の循環に悪影響を及ぼす可能性があります。
LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。