免疫抑制剤を使う治療を受けているからと言って、“免疫を活性化する”と言われる食品を避ける必要はありません。
「免疫を活性化する」ということについて考えてみましょう。
免疫は、次の4つの機能を担っています。
① | 自分と自分でないもの(正常と正常でないもの)を見分ける |
② | 自分でないもの(正常でないもの)を排除する(炎症も含む) |
③ | 排除が終わると、排除のための活動を収束させる |
④ | 排除の活動で傷ついた箇所を修復する |
「免疫を活性化する」と言うと、大体②のことを思い浮かべる人が多く、また狭義に②のことだけを指す場合も確かにあります。
しかし「免疫を活性化する」という意味は、本来、①~④までのすべてについて、「必要な時に、必要な対応が、速やかにできる状態にしておくこと」が最も近いと思います。
免疫抑制剤は、主に②をターゲットにし、炎症性因子をトラップしたり、炎症性因子の遺伝子発現を止めたりします。免疫を活性化する食品成分は、こうした免疫抑制剤の作用を邪魔することはありません。一方、①、③、④の作用を穏やかにサポートし、副作用も補ってくれる場合があります。
ここからは、興味のある方はお読みください。
炎症といっても、排除すべき対象がいないときにむやみに起きることはなく、排除すべき対象が現れた時に速やかに排除し、速やかに収束し、治癒に至るというのが、免疫が活性化されている状態です。
もし、むやみに炎症が続いているとすると、それは免疫の活性化ではなく”免疫の異常”です。例えば以下の4つは、むしろ「免疫の低下」とも言えます。
・ | 免疫が異物を見分けられてない(自分自身に対して抗体ができている場合も含みます) |
・ | 排除力が弱く排除活動がいつまでも終わらない |
・ | 排除が終わっているのに収束の指令が出てない |
・ | 傷の治りが遅い |
免疫を活性化する食品成分としては、ペプチドグリカン、βグルカン、リポポリサッカライド(LPS)、フコイダンなどがあります。これらの食品成分は、血管や臓器に直接運ばれるのではなく、口腔や腸管の粘膜細胞を刺激するだけです。口腔や腸管は、外来成分が入ってくる場所のため、そこでは自分ではないものだからといって炎症は起こりません。しかし、粘膜細胞が食品成分から受ける刺激は、細胞を介して体内にも伝達され、免疫作用(①~④を含む)を活発化します。
LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。