「免疫力が低下すると風邪をひきやすくなる」というのは聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。実は、免疫力の低下は風邪の他にも様々な病気を引き起こすことが分かっています。今回は、免疫力が低下することで発症しやすくなる病気について解説していきます。
この記事の目次
免疫が低下するとどうなるの?
免疫力とは、外から侵入してきた細菌やウイルス、体内で発生したガン細胞などを監視し、排除し、自然治癒させる自己防衛システムのことです。わたしたちの体にはもともと免疫力が備わっています。
しかし、免疫力が低下してしまうと、病原体や危険な細胞を排除する力が弱まってしまうため、感染症にかかりやすくなったり、症状が重くなり治りにくくなったりします。また、普段は感染しないような細菌にも感染してしまう場合もあります。
免疫力が低下する原因は?
免疫を低下させる原因には以下のようなものがあります。
- 加齢
- ストレス
- 体の冷え
- 強いストレス
- 睡眠不足
- 運動不足
- 偏った食生活
- タバコ
- 飲酒
気免疫力の低下で発症しやすくなる病気5つと予防策
免疫力が低下してしまうと、どのような病気になりやすくなるのでしょうか?免疫力が低下することで発症しやすくなる5つの病気と、その予防について解説していきます。
風邪やインフルエンザなどの感染症
免疫力が低下することで発症しやすくなる病気に、風邪やインフルエンザがあります。風邪とインフルエンザは、症状やウイルスの種類は異なりますが、どちらもウイルスによる感染症の1つです。風邪やインフルエンザは、気温が低く空気が乾燥する冬場に流行することが多いです。これは、ウイルスが低温で乾燥した場所で活発になりやすいこと、寒くなると鼻や口腔内の温度がさがり、免疫細胞が不活発になるためです。
感染症を予防するには
- のどや鼻からウイルスを吸い込むのを防ぎ、口や鼻の温度を保つために、外出時にはマスクを着用する
- 空気が乾燥すると粘膜の防御機能が低くなるため、室内の湿度を50~60%に保つ
- ウイルスや細菌を洗い流すために、うがいや手洗いをおこなう
肌の炎症
免疫力が低下すると、肌の炎症をひきおこしやすくなります。肌の炎症とは、肌の赤みやかゆみ、吹き出物、カサつきやザラつきなどのことです。肌の炎症が起こってしまうのは、紫外線や乾燥、間違ったスキンケアなどで肌に負担をかけてしまうことが原因です。
肌の炎症を予防するには
- 抗酸化作用のあるビタミンCを含む食品を摂取する
- タンパク質は保湿力を高める効果があるため積極的に摂取する
- 乾燥すると外部からの刺激を受けやすくなるため、丁寧な保湿をこころがける
- しみるなどの刺激を感じるスキンケア商品は避ける
食中毒
免疫力が低下することで発症しやすくなる病気に、食中毒があります。食中毒になると、腹痛や下痢、嘔吐などの症状があらわれます。食中毒の原因となっているのは、「腸炎ビブリオ」や「サルモネラ属菌」などの細菌です。気温と湿度が上昇する梅雨から夏は、細菌が繁殖しやすい時期であるため、食中毒も梅雨から夏にかけて発症しやすい病気です。
食中毒を予防するには
- 細菌の繁殖を防ぐため調理の前に必ず手を洗う
- 肉・魚には食中毒の原因となる細菌がいる場合もあるため、肉・魚に触れた手で生野菜に触れない
- 冷細菌の繁殖を防ぐため、凍・冷蔵が必要なものはきちんと冷凍庫、冷蔵庫に入れる
- 唾液には強い殺菌効果があるため、よく噛んで食べる
歯周病
免疫力が低下すると、歯周病をひきおこしやすくなります。歯周病になると、歯茎が赤くなったり、腫れたりします。また、症状が進行すると歯を支える骨が溶けて歯がぐらぐらするようになり、そのうち歯は抜けてしまいます。歯周病とは、口の中の常在菌である「歯周病原性細菌」が原因で発症する症状です。歯周病原性細菌が歯垢を餌にして増殖することで、歯周病は進行してしまうのです。
歯周病を予防するには
- 歯周病原性細菌の増殖を防ぐため、食後にきちんと歯磨きをする
- 歯科医院で定期的にチェックをおこない、餌となる歯垢を除去してもらう
- 抗酸化作用のあるビタミンCを含む食品を摂取する
- 血行をよくするビタミンEを含む食品を摂取する
がん
免疫力が低下することで発症しやすくなる病気に、がんがあります。がんには肺がんや胃がん、大腸がん、乳がんなどがあり、部位により症状が異なりますが、共通して機能の低下やしこり、内臓痛などがあげられます。
がんとは、細胞に異常が起きて「がん細胞」が発生することで発症します。がん細胞は増殖を繰り返して大きくなることで、がん細胞の周辺の細胞にも危害を加えるようになります。
がんを予防するには
- 禁煙する
- お酒を飲む場合は、日本酒であれば 1合、ビールであれば 1本、ワインであればボトル1/3程度に抑える
- 食事は塩分のとりすぎに注意し、野菜や果物を摂取するよう意識する
- 歩行と同等以上の強度の運動を1日60分おこない、1週間に60分程度は息がはずみ汗をかく強度の運動をおこなう
- 体重は、男性はBMI値21~27、女性はBMI値21~25の範囲になるよう管理する
免疫力を高めるためにできること3つ
免疫力が低下してしまうと、風邪やインフルエンザといった感染症をはじめ、歯周病やがんなどの病気も引き起こしやすくなることが分かりました。それぞれの病気には様々な予防方法がありますが、免疫力を高めることで免疫低下が原因で起こる病気の予防が期待できるといえるでしょう。ここからは、免疫力を高めるためにできることを紹介していきます。
生活習慣を見直す
食生活や運動習慣、睡眠など、生活習慣を見直すことで免疫力を高めることができます。
食生活
偏った食事に注意しバランスの良い食事を心がけましょう。特に、免疫細胞を作るうえで欠かせないタンパク賃や、免疫細胞を元気にするビタミンA・ビタミンC・ビタミンEを積極的に摂取しましょう。
運動習慣
散歩や体操など、汗を軽くかく程度の運動をおこないましょう。「運動習慣があると、風邪などになっても軽症ですむ」という研究結果が出ています。
睡眠
免疫力は睡眠中に強化されることが分かっているため、免疫力を高めるためにはきちんと睡眠をとることも大切です。「睡眠時間が7時間未満の人は、8時間以上眠る人に比べて3倍以上も風邪をひきやすい」という研究結果が出ているため、1日に7~8時間以上を目安に睡眠をとりましょう。
腸内環境を整える
腸内には、全身の免疫細胞の約50%が存在しているといわれています。そのため、腸内環境を整えることで免疫力を高めることができます。
腸内環境を整えるためには、腸内の善玉菌を増やす必要があるため、善玉菌のえさとなる発酵食品、オリゴ糖を多く含む食材を積極的にとりましょう。また、悪玉菌を減らす働きのある食物繊維も摂取しましょう。
- 発酵食品:味噌、醤油、ぬか漬け、キムチ、チーズ
- オリゴ糖を多く含む食材:バナナ、大豆、アスパラガス、タマネギ
- 食物繊維を多く含む食材:さつまいも、ゴボウ、トウモロコシ
LPSを摂取する
LPSとは、マクロファージを活性化させる働きをもつ成分です。マクロファージとは、体に侵入した細菌やウイルスから体を守るために働く細胞のことで、免疫力アップには欠かせません。
LPSは食べ物から摂取することができます。LPSは土壌にもいる細菌の成分であるため、土の栄養で成長する野菜やお米などに豊富に含まれています。ただし、農薬を使うと細菌類は死滅してしまうためLPSも減少してしまいます。無農薬の畑で採れた食材を選ぶと良いでしょう。また、海の中にも細菌がいるため、そこで成長する海草にもLPSが含まれています。
LPSが多く含まれている食材には以下のようなものがあります。
- 穀物:玄米蕎麦
- 海藻:めかぶ、ひじき、岩海苔
- きのこ類:シイタケ、なめこ、ヒラタケ
- 野菜:明日葉、レンコン、ほうれん草
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LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。