マクロファージは、体内に侵入した細菌やウイルスなどを食べて消化し死滅させ、細菌の広がりを早期に食い止めることができます。そのマクロファージを活性化するのは、免疫ビタミンと呼ばれる「LPS」の主な働きの一つ。
ではLPSは、マクロファージをどのように活性化させているのでしょうか。詳しく解説をしていきます。
LPSがマクロファージを活性化する仕組み
LPSは、体内にある免疫細胞「マクロファージ」を活性化して免疫力を高める働きがあることから、免疫ビタミンと呼ばれ注目を集めています。
そのLPSが活性化させるマクロファージとは、血液中の白血球にある免疫細胞のひとつ。体内に侵入した細菌などの異物を食べる能力があり、食べた細菌を殺菌して感染から体を守る働きをしています。
では実際にLPSは、体を守る働きのあるマクロファージをどのように活性化するのでしょうか。
このマクロファージの細胞表面には、いろいろな物質をキャッチするためのレセプター(受容体)が多数存在します。
レセプターとは、特定の物質と結合することで細胞の機能に影響を与える存在。そのレセプターのひとつである「TLR4」が、LPSをキャッチするのです。
LPSが「TLP4」と呼ばれるレセプター結合すると、細胞内の核にまでシグナルが伝わり、核の中にある遺伝子が揺り動かされてマクロファージが活性化されます。
つまり、LPSがマクロファージのレセプター「TRL4」と結合することで、マクロファージの活性化を促しているわけです。
乳酸菌やキノコ、酵母の成分でもマクロファージは活性化する?
LPS以外にもマクロファージを活性化する成分があります。乳酸菌に含まれるペプチドグリカンや、キノコ・酵母に含まれるβグルカンという成分です。
これら成分はLPSとは別の「TLR2」というレセプターに結合して、マクロファージを活性化します。そのため、乳酸菌を含むヨーグルトやキノコ、あるいは酵母を含む食品でもマクロファージを活性化できることになります。
ただし、ペプチドグリカンやβグルカンがLPSと同じ程度にマクロファージを活性化するためには、LPSの1000~10000倍もの量が必要。LPSはそれだけマクロファージを活性化する力が強いということになります。
このようにマクロファージを活性化させる力の強いLPSは、食品から摂取することができます。LPSはもともと土壌にいる細菌由来の成分で、微生物が存在する土壌で育った穀物や野菜、微生物が生息する海でとれる海藻などに多く含まれているもの。私たちは、これら食材を通してLPSを摂取しているのです。
LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。