体中に存在する免疫細胞・マクロファージを活性化することで注目を集めるLPS。体にいいことはわかるけど、具体的な効果についてはイメージできないという人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、実際にLPSがどのような効果をもたらすのか、そのメカニズムとともに紹介します。
この記事の目次
マクロファージを活性化して免疫力を高める
LPSの最も代表的な効果は、マクロファージの活性化です。
マクロファージとは体のあらゆる部分に存在する免疫細胞で、細菌やウイルスなどの異物の侵入を監視している重要な存在。見つけたらこれら異物を食べてしまい、消化・殺菌して体が細菌やウイルスに感染することを防いでいます。
マクロファージの表面にはいろいろな物質と結合するレセプター(受容体)があり、そこにはLPSが結合できる「TLR4」というレセプターもあります。
結合によってマクロファージの核にあたる部分にシグナルが伝わり、働きを高めることに。マクロファージ は細菌やウイルスを攻撃する力が強くなって、逃さず退治します。これにより、感染から体を守ることができるのです。
血流を改善する
LPSには血流を改善する効果もあります。これは、前項で説明したマクロファージの活性化と関連する効果です。
マクロファージは一酸化窒素という物質の生成を促す働きがあり、この一酸化窒素に血管を拡張作用を持つ作用があるからです。
また、マクロファージは体内の不要な物質を食べて取り除く働きをするため、血管内にある異物も排除します。
LPSがマクロファージを活性化すれば、血管内の掃除もさらにはかどります。その結果、血流も良くなっていくのです。
一酸化窒素による効果、そしてマクロファージが血管内の異物を食べるというふたつの効果で、高い血流改善の効果が期待できるでしょう。
肌荒れの炎症を抑える
LPSは皮膚の表面にあるケラチノサイトにアプローチして、肌荒れの炎症を抑える効果も期待できます。LPSが肌荒れの炎症を抑えるしくみはひとつではありません。
LPSは次のような3つの作用で肌荒れを抑えます。
- 表皮で制御性T細胞を活性化
- 一酸化窒素を出して炎症を鎮める
- 炎症を起こす物質を抑える
それぞれについて、もう少し詳しく見てみましょう。
①制御性T細胞を活性化する
LPSは、肌の表皮で制御性T細胞という炎症を抑える細胞を活性化します。
制御性T細胞は自分で炎症を鎮めるのではなく、サイトカインという炎症を抑える物質を分泌して炎症を抑える役割をするものです。
サイトカインには「IL-6」という炎症を引き起こすものと、「IL-10」という炎症を抑えるものという、正反対の2種類があります。
制御性T細胞は炎症を抑える「IL-10」の分泌を促しつつ、炎症を引き起こす「IL-6」の分泌を抑える働きをするのです。
②一酸化窒素を出して炎症を鎮める
肌の表面にあるケラチノサイトという細胞は、LPSの刺激を受けると一酸化窒素という物質を出します。
この一酸化窒素は、肌が紫外線を浴びたときも分泌されて肌の細胞が壊れるのを防ぐ働きをするもの。他にも接触性過敏症という皮膚炎を起こるのを抑える、傷の治りを早めるなど皮膚を守る働きを担っています。
このような一酸化窒素の効果で、肌荒れが鎮まっていきます。
③炎症を起こす物質が出るのを抑える
肌の表面にはランゲルハンス細胞という細胞もあります。
ランゲルハンス細胞は炎症の原因になる「ケモカイン」という物質を分泌しますが、LPSの刺激があるとケモカインの発生が低下することが研究で確認されています。
LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。