LPSは、身体の免疫力を上げる成分として注目されていますが、その発見の経緯によってネガティブな情報（「LPSは敗血症の原因になる」など）もあり、取り入れることに不安を感じる方もいるでしょう。ここでは、LPSの安全性や正しい摂取の仕方について解説していきます。

LPSとは

LPS（リポポリサッカライド）とは、土の中や腸内に存在する「グラム陰性細菌」の外膜を構成する成分です。

LPSには、私たちの身体に生まれつき備わっている免疫細胞の一種であり、体内に侵入したウイルスや細菌などを食べて死滅させる「マクロファージ」を活性化させる働きがあります。

マクロファージの細胞表面には、さまざまな物質をキャッチするレセプター（受容体）が多く存在しており、その中のTLR4というレセプターがLPSと結合することによって、細胞核にシグナルが伝達され、マクロファージが活性化するのです。

マクロファージが活性化すれば、病原菌による感染を防ぐ効果がさらに高まることが考えられます。

LPSの安全性に問題はないのか

身体の免疫力を高める効果が期待されているLPS。しかし「LPSは敗血症の原因になる」という情報もあり、摂取することに不安を感じてしまう方もいるかと思います。そこでここからは、なぜLPSが敗血症の原因になるといわれるのか、実際の安全性はどうなのかについて見ていきましょう。

敗血症の原因になるものはLPSだけじゃない

敗血症とは、血液中に菌やウイルスが侵入することによって全身に炎症が広がり、臓器の機能不全を起こしてしまう症状のことです。大腸菌、コレラ、サルモネラのようなグラム陰性細菌や、ブドウ球菌、連鎖球菌のようなグラム陽性細菌といった病原性細菌＝増殖力が異常に高い細菌や粘膜に穴をあける毒素を持っている細菌、またコロナウイルスやインフルエンザウイルスなどの感染（寄生・増殖）によって発症します。

LPSはグラム陰性細菌が持つ成分であり、グラム陰性細菌に感染した際に炎症を悪化させる因子の一つとされ、「エンドトキシン（内毒素）」とも呼ばれています。ただし、LPSを含まないグラム陽性細菌やウイルスによっても敗血症は生じるため、LPSだけが敗血症の原因となるわけではありません。

経口・経皮摂取なら身体に害はない

LPSは、私たちの体の中や土の中など、身の回りにも普通に存在している物質です。食べたり、肌に触れたりすることで身体を害することはありません。

LPSが敗血症を引き起こすのは、LPSを血液中に注射した場合や、病原性細菌の感染によって体内に持ち込まれた場合です。これは、本来無菌であるべき血液中にLPSが侵入することにより、血液中に異物が存在していると身体が認識し、免疫細胞が炎症を起こして（炎症性サイトカインという物質を出して）異物を攻撃（排除）しようとするからです。

一方、LPSを経口・経皮で摂取した場合に、同じような反応は起こりません。なぜなら、ヒトの皮膚や口、消化器官にはさまざまな常在菌（＝異物）が存在することが当たり前だからです。腸内の細胞や皮膚の細胞にとって、正常に活動している常在菌は、悪い細菌から身体を守ってくれる存在であり、むしろ無菌であることの方が身体の免疫力を下げてしまうのです。

安全なLPSの取り入れ方

LPSを持つ細菌は環境中や特に土壌中に多く存在しているため、土壌環境で育った野菜や穀物、海藻類にもLPSが多く含まれています。農薬や化学肥料の使用で細菌類は減ってしまうため、有機肥料や無農薬で育った野菜を食べることで、LPSをより多く摂取できるでしょう。

すでに説明した通り、LPSは、経口・経皮であれば安心して摂取できます。そのため、食事やLPS配合のサプリメント、化粧品などから取り入れることで、身体への良い影響が期待できます。

LPS活用事例