免疫機能は遺伝する?遺伝する免疫機能や免疫に関わる病気を解説!

免疫とは、体内に侵入してきた細菌などから身を守る働きのことです。免疫機能には個人差があり、免疫力が強い人もいれば弱い人もいます。そして、この免疫機能の一部は遺伝することもあるのです。

この記事では、免疫機能が遺伝するメカニズムや免疫に関係する病気と遺伝の関係などについて詳しく解説していきます。

免疫機能はある程度遺伝する!

免疫機能の一部は遺伝によって個人差が生じることが分かっています。例えば免疫反応を開始するための遺伝子や、作り出される抗体の量などは遺伝すると言われています。

つまり、遺伝によって免疫力の程度がある程度決まってくるといえるのです。ここからは、遺伝すると考えられている物質や遺伝子について具体的に見ていきましょう。

免疫応答遺伝子(Ir gene)が存在する

病原菌(抗原)が体内に侵入すると、血液に含まれる免疫細胞の一つであるT細胞がB細胞に対して抗体を作り出すよう指令を出します。抗体は病原菌を攻撃し、体を守る働きをしてくれます。これらの免疫細胞による反応を免疫反応と言います。

免疫反応で作り出される抗体の量や反応の強弱には人によって個人差があり、それらを決定しているのが遺伝子です。これらの遺伝子は総称して免疫応答遺伝子(Imuune response gene; Ir gene)と呼ばれます。

MHCも遺伝する

主要組織適合遺伝子複合体;MHC(Major Histocompatibility Complex)とは細胞膜の表面に存在する糖タンパク質です。免疫反応に必要なタンパク質の遺伝子情報を持っており、外部から侵入してきた病原菌などを識別(自己か非自己か)することで免疫反応を開始することができます。

MHC遺伝子は母と父から一対ずつ受け継がれるため、最も個人差が出る遺伝子でもあります。脊椎動物の多くはMHCを保有しており、人間のMHCは別名HLA(ヒト白血球抗原)とも呼ばれます。

HLAといえば臓器移植などに関連する言葉として聞いたことがあるのではないでしょうか。臓器の移植には患者とドナーのHLAが一致している必要があるほか、HLAのタイプによってかかりやすい病気などがある程度わかると言われています。

エイズに免疫がある遺伝子を持つ人もいる!!

エイズとは、後天性免疫不全症候群(Acquired Immunodeficiency Syndrome)と呼ばれる病気です。HIV(Human Immunodeficiency Virus)というウイルスに感染することで体内の免疫に関係する細胞が破壊され、免疫機能が低下してしまいます。免疫機能の低下によって、エイズ指標疾患に指定されている病気が発症することでエイズが発症したと診断されます。

つまり、HIVに感染したからといってすぐにエイズを発症するわけではなく、多くの人が無症状の期間を経て発症に至ります。

そして近年、エイズに免疫がある(ウイルスにさらされても感染しない)人が存在することがわかってきました。エイズに免疫がある人の特徴として、両親からある変異遺伝子をそれぞれ受け継いでいることが挙げられます。この変異遺伝子はHIVウイルスが細胞に侵入するための受容体を生成することができません。そのため、変異遺伝子を持つ人は、HIVウイルスが体内に侵入しても、細胞が破壊されることはないという説が唱えられています。この研究がさらに進む事で、エイズ治療薬の開発なども期待されています。

免疫に関係する病気が遺伝することもある!

免疫機能自体が遺伝するだけでなく、免疫に関係する病気も遺伝することがあります。ここでは遺伝すると言われている免疫系の病気についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

PID(原発性免疫不全症候群)

PIDは生まれつき免疫の働きに障害がある病気の総称です。免疫系の働きが弱まるため病原菌などへの抵抗力が弱まり、熱が出やすくなったり中耳炎などを繰り返すことがあります。家族で1人しか発症しないこともありますが、基本は遺伝性の疾患です。

花粉症

花粉症とは、体内に侵入してきた花粉に対して免疫が過剰に反応してしまう事で生じるアレルギー性疾患です。アレルギーを引き起こす物質のことをアレルゲンと言い、アレルゲンに反応する体質は遺伝によって決まります。ただし、発症するかどうかは環境的要因が関わってくるため、親と同じ症状が出るわけではありません

リウマチ

リウマチは自己免疫疾患の一つで、関節が炎症を起こすことで骨が壊れてしまう病気です。自己免疫疾患とは、何らかの原因によって免疫が正常に機能しなくなり、体内の組織や細胞を自ら攻撃してしまう病気です。

リウマチは手足の関節に起こりやすく、関節を動かさなくても痛みが出てくることが特徴です。また、関節が痛む他に倦怠感や発熱の症状が出ることがあります。

リウマチは遺伝による要因があると考えられていますが、遺伝だけではなく様々な環境要因が重なる事で発症すると言われています。

免疫細胞の遺伝子を変える治療法も存在する!

免疫細胞の遺伝子を変えることで病気を治療するという医療技術も近年注目を集めています。現在では遺伝子に異常があることが原因で生じる病気を治療するものですが、今後は免疫力が弱い人の免疫力を高めたり抵抗力を強めたりする治療ができるようになることも期待されています。

健康維持に欠かせないLPSを補給しよう

LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。

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この記事の著者
やさしいLPS編集部

食用植物に共生するパントエア菌由来の“免疫ビタミン”LPSを提供する自然免疫応用技研株式会社です。当サイトでは、自然免疫、マクロファージ、LPSに関する情報と、当社の活動をお伝えします。

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