過去に「認知症のヒトは口臭がする-口臭の原因は、口の中のLPS-LPSを除去することで認知症が予防できる」とするTV番組があり、LPSについて間違った印象を与えてしまったことがありました。
多くの視聴者が不安を感じましたが、その真偽はいかほどなのでしょうか?
この記事の目次
LPSによって口の匂いが臭くなる…これって本当?
口臭の原因は「酪酸」
結論としては、とんでもない間違い。
実際のところ、口臭は歯周病菌の作る「酪酸」が主な原因です。そのほか口の匂いの原因のほとんどは、舌苔や歯垢、生活習慣によるものです。
適切な口腔ケアを行えば、口の匂いの多くは改善が期待できます。他にも定期的な歯医者でのメンテナンスや食生活の見直しによっても改善が見込めるでしょう。
LPSの本来の役割
ここで改めてLPSの役割についてに理解を深めましょう。
免疫ビタミンとも呼ばれるLPSは、マクロファージの細胞表面にあるTLR4というレセプター(受容体)と結合することで細胞を活性化させる働きがあります。
マクロファージの細胞表面には、レセプターとよばれるいろいろな物質をキャッチする受容体があります。その中のTLR4がLPSをキャッチすることで活性化、免疫力を高めるのに役立つのです。
マクロファージは免疫機能においてとても重要な役割を持っています。体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を食べることで殺菌、感染の悪影響から体を守る働きをしています。
マクロファージの主な働きと期待できる健康効果
マクロファージの主な働きと期待できる健康効果には以下のようなものが挙げられます。
感染防御
創傷治癒
代謝調節機能の向上
認知症予防
腎臓結石の除去etc…
健康の番人として活躍するマクロファージをより活性化させるLPSは、私たちが健康的な毎日を過ごすための鍵といってもいいでしょう。
実はLPS以外にも、乳酸菌に含まれるペプチドグリカンやキノコ、酵母に多く含まれるβグルカンがマクロファージを活性化する成分として注目されています。しかし、LPSは、ペプチドグリカンやβグルカンの1/1000~1/10000の微量でマクロファージを同等に活性化させる力があり、LPSの活性化力の力強さが際立ちます。
私たちの健康に欠かせない成分
加齢やストレス、乱れた生活習慣などで免疫力が低下すると、病気になりやすくなります。LPSを積極的に取り入れることは、マクロファージを活性化させて免疫を高め、健康的で若々しい体づくりに役立ちます。
LPSは決して特別なものではなく、さまざまな食品や人の体内にあるのが普通の細菌由来の成分です。
土壌にいる細菌由来の成分で、根菜類をはじめとした野菜や穀物、また海藻類にも多く含まれています。中でも玄米に多く含まれているといい、普段の食事を通してLPSは取り入れることが可能となっています。
アレルギー体質との関係性
近年、野菜や穀物に含まれるLPSの量は 農薬や化学肥料のために減少傾向があります。
そのため私たちは、日頃から十分な量のLPSを摂取できていない可能性があり、そのLPS不足は現代のアレルギー体質の増加の原因の1つといわれているのです。LPSを積極的に取り入れる意識を持ち、自然免疫力を高めることがすすめられています。
テレビの情報を鵜呑みにせず自分で調べることも大切
ついつい私たちはテレビの情報は正しい、と感じがち。
しかし、受け取った情報は鵜呑みにせず、それを元に1度自分で調べる癖をつけてみるのがおすすめです。今はインターネットや書籍などさまざまな情報を気軽に知り得る機会があります。自分で調べることで、情報の真偽やより多くの正しい知識を得ることができるため、考える力がつき間違った情報に振り回されることが少なくなるでしょう。
正しい知識をもつことで、自分なりのLPSとの付き合い方が理解できるようになるはずです。
LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。