LPSは体内にある免疫細胞を活性化して、体の自然免疫力を高める作用がある成分です。細菌やウイルスから身体を守り、あらゆる病気を防ぐ夢のような成分ですが、危険性はないのでしょうか?この記事では、LPSの副作用について検証します。
LPSは安全な成分
LPSは安全性が確認されている成分です。LPSを使った動物実験で、1日に体重1㎏あたり10μg(マイクログラム)ほどの量を与えた動物には、病気の予防改善効果が見られたということです。
さらに実験ではその数万倍の量を与えましたが、動物の体に異常は現れなかったことが報告されています。
実験の結果により、LPSは食べても害がないことがわかりました。また、皮膚についても問題はなく、安全な物質だということが確認されています。
LPSは環境や食品、体の中にあることが普通の成分
LPSは害がないどころか、土や野菜にあることが普通の成分です。しかも、人の腸内や皮膚の細胞にも存在していて、体の健康を守っています。
存在することが当たり前で、不足すると病気になりやすくなってしまいます。
LPSには副作用もある?
LPSは食べたり皮膚についたりしても安全であることが証明されていますが、血液中に注射した場合は、強い炎症が起きてしまいます。
このことを理由に、「LPSは副作用がある」という人もいます。
しかし、注射すると炎症が起きてしまうのは、血液中にある免疫細胞が注入されたLPSを異物と勘違いするためです。血液中に侵入してきた異物を排除するため、炎症を起こしてしまうのです。
LPSに副作用があるから炎症が起こるわけではありません。
血液中に注射して炎症が起こるのはLPSに限ったことではなく、毎日普通に食べている食物でも注射すると危険なものはたくさんあります。
炎症が起こるのはLPSが危険だからではなくて、もともと注射に適した物質ではないからです。
LPS不足はアレルギー体質を増やす?
前の項目で、LPSは食べ物や体に存在することが普通の物質と伝えましたが、最近は食べ物や体のどちらにもLPSが不足していることが問題になっています。
LPSは細菌由来の成分ですが、衛生状態が良くなったことで細菌類が減るとともにLPSも減ってきているのです。
LPSの不足は免疫力の低下を招き、病気になりやすい体になる可能性もあります。最近の研究では、先進国で増えているアレルギー疾患はLPSの不足が原因だという報告もあります。
LPSはビタミンに似ている
LPSの不足がアレルギー体質を作るという現象は、かつてビタミンCの不足で壊血病という病気が増え、ビタミンB1の不足で脚気という病気が発見されたという出来事に似ています。
これらの出来事では、病気が増えた原因をたどって、ビタミンが発見されたのです。
このような流れは、LPSの不足でアレルギー体質が増えている現代に当てはまります。LPSは、不足すると病気や何らかの体調不良が起こるというビタミンとよく似ているのです。そのため、LPSは「免疫のビタミン」と言えるのです。
LPSは土の中などに存在するため、野菜や穀物、海藻類などに豊富に含まれています。しかし、農薬などによって細菌が取り除かれるとLPSも少なくなってしまうため、近年食事から取り入れられるLPSはどんどん低下していると言われています。そのため、サプリメントを利用したり、肌への効果を期待する場合は化粧品などを利用したりするのがおすすめです。