自然免疫応用技研株式会社

ひげ博士の最新免疫学講座

かげ

第31回

人工甘味料と腸内細菌叢の話
(2015年6月 No.31より)

皆さん。ひげ博士じゃ。今日は人工甘味料が腸内細菌叢(フローラ)を変化させて、糖尿病を発症させるかもしれないという巷で話題の研究を紹介しよう。人工甘味料は甘みが強く、カロリーが少ないことで、ダイエットに使われている食品じゃ。サッカリンやスクラロースは砂糖の数百倍の甘さを持ち、炭水化物として消化されないため、カロリーはゼロで、その上、血糖値やインスリン値にも影響を与えないと考えられいるし、安全性が確認されているとされておる。しかし、これらの一日許容量をマウスに摂取させるとブドウ糖不耐性、つまり食事で上がった血糖値が下がりにくくなる、ということが示されたのじゃ。この理由として腸内細菌叢の変化が示されておる。これらの人工甘味料を与えてブドウ糖不耐性を獲得したマウスに抗生物質を投与して腸内細菌叢の変化を抑制したり、その腸内細菌叢を無菌マウスに便移植することで証明したのじゃ。これまでも、腸内細菌叢が肥満と関連していることが知られてきているが、これらの人工甘味料も腸内細菌叢を変化させることで、ブドウ糖不耐性が引き起こされるようじゃのう。

世の中には、たくさんのカロリーオフ食品が販売されているが、ダイエットのつもりでいたのに、かえって血糖値が高くなって糖尿病になりやすくなる危険性が示唆されたと言う点で、この論文は現代社会の食文化に警鐘を鳴らしているとして注目されているようじゃ。

文献: Jotham Suez1, et al., Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gutmicrobiota | Nature 514: 181-186 (2014).

ひげ博士

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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