自然免疫応用技研株式会社

ひげ博士の最新免疫学講座

かげ

第67回

傷の治りの話
(2024年6月 No.67より)

皆さん、ひげ博士じゃ。どうにも年を取ると傷が治りにくくなるのう。どうしたら早く治るか?フムフム、そうじゃな。一つには運動がよいことが知られておる。例えば、3ヶ月間運動した健康な高齢者グループは座りっぱなしのグループに比べて傷の治りが30%早まる1)。また、老齢マウスに8日適度な運動をさせると、対照群に比べて傷の治り促進されたことが2)報告されておる。

せっかくじゃから、どうして運動で傷の治りが早くなるかについて解析された研究3)を紹介しようかのう。マウスに運動させた群は、傷の治りが対照群に比べて有意に早い。この実験で創傷部のマクロファージを解析したところ、運動群と対照群で数には差がないのじゃ。ところがじゃ、運動群では抗炎症作用や創傷治癒促進作用があるM2マクロファージがなんと20~50%増加しているということで、その分M1マクロファージが減少しておる。つまり、適度な運動は創傷治癒を担うM2マクロファージの割合を増やすことに役立つようじゃ。

何、ケガで運動できないときにはどうしたらよいかって?それは、LPSを飲んだり、ケガに塗ったりすれば、運動と同じようなことになるじゃろうな。

1) J Gerontol, BSMS, 2005. https://doi.org/10.1093/gerona/60.11.1432
2) Am J Physiol, 2007. https://doi. org/10.1152/ajpregu.00177.2007
3) Physiological Reports, 2022. https://doi.org/10.14814/phy2.15447

ひげ博士

出典:特定非営利活動法人自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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