自然免疫応用技研株式会社

ひげ博士の最新免疫学講座

かげ

第66回

扁桃腺の話
(2024年3月 No.66より)

皆さん、ひげ博士じゃ。今シーズンはコロナとインフルエンザがダブルで流行っておる。ワシはのど(扁桃)が弱いので要注意じゃ。そういえば、昔は腫れやすい子は扁桃を切除するという手術が多くあったが、最近はなるべく切らないようにしているようじゃ。その根拠になるコホート調査がデンマークで120万人の子供を対象として行われたので紹介しよう1)。この中で、9歳までに扁桃切除をした6万人の子供を30歳まで追跡調査したところ、上気道炎などの感染リスクは2~3倍、喘息は1.5倍、慢性閉塞性肺疾患は2倍に高まる等、どうやら免疫力の低下が起こることがわかったのじゃ。もちろん、扁桃腺炎や呼吸による睡眠障害のリスクが改善する利点はあるがのう。

さて、このように扁桃腺は免疫組織として有用な役割を担っているのは確かじゃが、なんと、獲得免疫と扁桃切除は関係が無いことも知られておる。一方で、これまで自然免疫についての研究があまり行われておらんのじゃが、扁桃腺の自然免疫系細胞の加齢に伴う変動研究が2023年に報告されておる2)。この研究では、扁桃においては組織マクロファージ(単球)が老化にともなって変動し、炎症を抑制しにくくなるそうじゃ。これら二つの研究から、扁桃においても組織単球(マクロファージ)が感染症や炎症の制御など、他の組織と同様に、体を守っていることを示しておる。そうすると、LPSを舐めることはのど(扁桃)マクロファージへの良い刺激になっているじゃろうなぁ。

参考文献
1) JAMA Otolaryngol Head Neck Surg. 2018. doi:10.1001/jamaoto.2018.0614
2) Front. Immunol., 2023. doi: /10.3389/fimmu.2023.1183212

ひげ博士

出典:特定非営利活動法人自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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