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ひげ博士の最新免疫学講座

かげ

第44回

お酒とマイクログリアの話
(2018年9月 No.44より)

皆さん、ひげ博士じゃ。 暑い日が続いておるが、その分冷えたビールはなかなかなうまいのう。じゃが、酒は百薬の長と言われるのは、適度に嗜むことが大事じゃ。飲み過ぎは肝硬変、糖尿病、認知症などの生活習慣病を引き起こすから要注意じゃぞ。・・・何、認知症との関係がわからない?それでは、お教えしようか。

Kalininらは、脳にいる組織マクロファージであるマイクログリアへのアルコールの作用を報告しておる。ラットの脳からマイクログリアを取り出して培養し、そこに認知症の主要な原因物質であるアミロイドβに対する貪食能を調べたのじゃ。これにアルコールを添加すると、なんと炎症物質(一酸化窒素)が誘導される。その一方で、アミロイドβの貪食能は低くなったのじゃ。そこで、アルコールで誘導されるマイクログリアの変化を遺伝子発現で調べたところ、異物排除に関連する遺伝子が低下していることが確認されたのじゃ。

我々は、LPSを添加するとアミロイドβの貪食が進むことを調べているが、Kalininらはエタノールでは貪食が抑制されてしまう可能性を見つけたということじゃ。アミロイドβは脳で日々生じる異物、つまりゴミであり、きちんと排除されることは健康を維持する上で重要じゃが、飲み過ぎは肝硬変や糖尿病だけでなく認知症にも要注意じゃな。

*: Journal of Neuroinflammation 2018: Vol. 15 https://doi.org/10.1186/s12974-018-1184-7

ひげ博士

出典:特定非営利活動法人環瀬戸内自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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