自然免疫応用技研株式会社

ひげ博士の最新免疫学講座

かげ

第64回

生物学的年齢の話
(2023年9月 No.64より)

皆さん、ひげ博士じゃ。先日の同窓会で久しぶりにあった同級生にはとても若く見えた友人も、その逆の友人もいたのう。人間はいつ頃から老け始めるのかと考えていて、一つ思い出した研究報告があるので紹介しよう。ニュージーランドのダニーデンで行われている研究は、1972~1973年に生まれた1,000人以上の参加者を対象に、生まれてからずっと健康状態を調査しておる。その中で、2011年時点で38歳じゃった954人の26歳から38歳までの追跡調査を解析して、若年成人における生物学的年齢の定量化を試みるというなかなか興味深い報告がある*。

18種のバイオマーカーを使い、実年齢38歳のヒトの生物学的年齢を評価すると、28歳から61歳まで(平均38歳、標準偏差3.23歳)と幅広く分布したのじゃ。生物学的加齢と強い相関を示すバイオマーカーはHbA1c, 心肺持久力, ウエスト・ヒップ比, FEV1(肺機能評価の一つで呼気排出能)などじゃ。そして、生物学的年齢が高い研究対象者は、若い研究対象者と比べて、過去12年間において急速な老化(平均の1.2倍)が見られるそうじゃ。つまり、生物学的な加齢速度は26歳から既に差が出ると考えられるのじゃな。個々人の加齢速度が早いのか遅いのかを知ることができれば、若さを保つノウハウもわかってこよう。若さの秘訣に興味がある皆さんにはこの論文は興味深いのじゃないかのう。

*: Proc Natl Acad Sci U S A. 2015 112(30): E4104–E4110. Quantification of biological aging in young adults. doi: 10.1073/pnas.1506264112

ひげ博士

出典:特定非営利活動法人自然免疫ネットワーク発行ニュースレター

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