LPS細胞実験
外界に晒されている皮膚は、物理的な損傷や紫外線の影響を受けやすい組織です。けれども、皮膚には、傷を治していく能力があります。
ここでは、LPSがケラチノサイトの組織修復能力/創傷治癒能力に及ぼす効果を調べました。
組織修復では、傷口に細胞が集まってきて(これを細胞の遊走といいます)傷口を埋めていくことが必要です。そこで、細胞修復能力を調べるために、細胞遊走試験を行いました
ヒトケラチノサイト細胞株HaCaTをシャーレで培養すると、シャーレ一面に細胞がはりついて増殖します。このとき、シャーレの底面の一部に障害物を置くと、その部分だけ細胞がはりついていない空き地ができます。障害物を除くと、細胞は空き地部分にも遊走し、やがて空き地部分も細胞でおおわれます。空き地が細胞でおおわれていく速度を調べることで、細胞の遊走能がわかります。
図1:細胞遊走試験(顕微鏡写真)
図1は、HaCaT(ヒト表皮細胞)を、Oris Cell Migration Asssay キット添付のストッパー(直径2.0mmの障害物)をセットした96wellプレートで細胞が密集するまで培養した後、ストッパーを外し、通常培地(10%FBS含有DMEM)またはLPSを添加(50ng/mL)した培地で培養し、細胞の遊走の度合いを経時的に撮影したものです。写真は96wellプレートの中の、ストッパーがあった部分のみ撮影しています。青く見えている部分が、細胞がいない部分で、白く見えている部分が、細胞が遊走している部分です。
通常の培地で培養する場合に比べて、LPS(50ng/mL)を加えた培地で培養したほうが、空き地部分が埋まっていく速度が速いことがわかります。
図2:細胞遊走試験(画像定量解析)
図2は、図1の画像解析から細胞の存在するエリアを定量的にグラフ化したものです。今回の試験から、LPSはケラチノサイトの遊走能を高めること、ひいては、組織修復能力/創傷治癒能力を高めることが示唆されます。
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