LPS動物経口投与試験
一般に、生体内の免疫機能が高いか低いかは非常に評価が難しいです。「免疫」の活性化は、あらゆる健康状態に影響を及ぼす一方、定量的な評価基準となるマーカーがないからです。このことが、免疫が重要であることが認識されつつも、トクホ等において「免疫」をヘルスクレームにできない理由の一つとなっています。免疫活性化作用を調べる場合、我々は、第一ステップとしてin vitroでマクロファージの活性化能を調べます。すなわちマクロファージ細胞に加えた場合に、一酸化窒素の誘導、サイトカインの誘導、貪食能の増強などが見られるかどうかを確認します。しかし、食品素材の免疫活性化能を調べる場合には、食べたものが消化管の粘膜に作用し、粘膜の免疫担当細胞に捉えられ全身性の作用が発揮されるのですから、in vitroの試験は、あくまでも免疫活性化力のポテンシャルを調べているにすぎません。今後、in vivoでの免疫活性化の評価指標の開発が強く望まれています。
さて、このような背景のなかで、我々はin vivo免疫活性評価の一つの方法として、脾臓NK細胞の細胞障害活性の強さを指標とすることを検討しています。ここでは、マウスにLPS(パントエア菌由来;IP-PA1)、ペプチドグリカン(乳酸菌死菌体)および、ポジティブコントロールとしてポリICを腹腔内投与した場合の脾臓NK細胞の細胞障害活性の動きについてのデータを紹介します。
図1 免疫素材によるNK細胞の活性化
BALB/cマウス(雄性、8週齢)に、ポリIC*(10μg)、またはLPS(パントエア菌由来;IP-PA1、0.5mg)、またはペプチドグリカン(乳酸菌死菌体、40mg)を腹腔内投与し、24時間後にマウスより脾臓を摘出し脾臓細胞を調整しました。この脾臓細胞と、蛍光物質であるカルセインを取り込ませたYac1細胞(マウスリンパ腫細胞)とを100:1で混合し4時間培養後、両細胞を遠心分離除去します。上澄みには障害を受けたYac1細胞から漏出したカルセインが存在しますので、その蛍光をプレートリーダーにて測定しました。
*ポリIC:インターフェロン産生を促進する合成リボ核酸
結果を図1に示します。LPS(パントエア菌由来;IP-PA1)を腹腔内投与したマウスの脾臓NK細胞では腫瘍細胞に対する障害性が顕著になっていることがわかります。またペプチドグリカン(乳酸菌死菌体)も弱いながら細胞障害活性が認められました。
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