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LPSヒト経口投与試験

LPSの抗癌作用(ヒト)

LPSは、1892年、コレラ菌の毒素として発見され、エンドトキシン=内毒素と呼ばれるようになりました。一方ほぼ同時期である1891年、Coleyは、細菌感染したがん患者で、がんが治ってしまう例に気づき、2種(グラム陽性細菌であるStreptococciとグラム陰性細菌であるSerratia marcescens)の熱殺菌混合剤を癌の治療に用いました(Coley's toxin)。このColey's toxinは特にsarcomaの治療に有効性がありました。ただ、この治療は、高熱と悪寒を誘発し患者にとってのQOLを著しく低下させるという問題点があったのと、当時は、なぜ細菌投与でがんが治るのか、そのメカニズムが不明であったことから廃れてしまったのです。しかしLPSによる自然免疫活性化の分子メカニズムが明らかになった今、LPSは、投与ルート、および投与方法を検討することにより、癌を含む難治疾患の治療薬となる可能性が大いにあります。

我々のグループは、ヒトにおいて、倫理委員会の承認の上で、10人の癌患者に対して、毒性がない投与量(0.4~1800ng/kg)で、CYと併用で1週間に2回、LPSを皮内投与する試験を行っています。まず副作用としては、投与時に一過性の発熱と倦怠感が見られたほかは、肝臓毒性、腎臓毒性、血圧低下、呼吸困難などの症状は皆無でした。4ヵ月後に評価したがんに対する効果は、LPSpを600ng/kgまたは1800ng/kgで投与した4人において、がんマーカーの低下とともに、癌サイズの縮小が見られました(表1)。これらの結果は、LPSの癌治療への応用の可能性を示唆するものです。

※Cancer Immunology and Immunotherapy, 42: 255-261 (1996)

表1.ヒトでの抗癌作用

ヒトでの抗癌作用


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研究レポート 目次
LPS細胞実験
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その他
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