その他
近年、微生物成分が動植物の自然免疫を活性化することが明らかとなっています。キノコや酵母のβグルカン、乳酸菌のペプチドグリカン、グラム陰性細菌のLPSなどが自然免疫活性化作用を持つ物質で、健康食品分野でも使われています。これら微生物成分の中のLPSについては、Pantoea agglomerans(パントエア・アグロメランス)由来のLPS素材が現在市場化されています。
以下、パントエア・アグロメランスについてご紹介します。
パントエア・アグロメランスはグラム陰性菌であり、土壌および植物(小麦、イネ、サツマイモ、リンゴやナシなど)に広く存在しています。
図.パントエア・アグロメランスの菌体
走査型電子顕微鏡写真(1万倍)
本菌は窒素固定や無機リンを溶解することによって植物の成長を促進する作用があります。
さらに、カビの繁殖を防ぐ作用もあり、欧州では、保存中のリンゴやナシのカビよる病気を防ぐためパントエア・アグロメランスの生菌を果実に吹き付けて、バイオ製剤として使用しています。
興味深いことに、ヨーロッパで広く食べられているライ麦パンの中にも見出されます。ライ麦パンは、酵母による発酵過程に乳酸菌による乳酸発酵が伴い、パン生地に特有の酸味が加わることが特徴ですが、パントエア・アグロメランスは、乳酸菌の増殖(発酵)に必須な葉酸(ビタミンの一種)を乳酸菌に供給することで、ライ麦パンの発酵に欠かせない菌となっています。
以上のことから、パントエア・アグロメランスは食経験のある菌と言ってよいかもしれません。生きた菌を摂取した場合の安全性も確認されており(研究レポートNo.25)、安全なグラム陰性菌であると考えられます。
図.その他の自然免疫制御に関係する「菌体」
左より、「キノコ」、「酵母」、「乳酸菌」、「大腸菌」
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