自然免疫応用技研株式会社

ニュースリリース

かげ

─2005年5月 地域経済情報誌 四国経済ナビ 716号─

優れた技術 優れた技能 そして事業化

自然免疫賦活技術研究会<徳島市>
~食の安心・安全に貢献~

”サルモネラ” ”コイヘルペス” ”鳥インフルエンザ”・・・、社会に不安を与えたことは記憶に新しい。畜産・水産養殖の感染症被害や抗生物質の使用による環境汚染を抑制することは、大きな社会的課題・ニーズです。
「自然免疫賦活技術研究会」の試みは、これらの課題を解決する一方法として注目されています。徳島で”花開こう”としている活動をご紹介します。

概要

徳島文理大学・健康化学研究所免疫アレルギー部門・杣源一郎教授らは、小麦から発見した低分子糖脂質が、免疫力を高め、感染予防効果があり、かつ、安全であることを発見。その事業化に見合う生産技術も確立した。この技術を基に、大学や公設試【学】、飼料メーカーや畜産・水産業者などの【産】が結集し、2001年、『自然免疫賦活技術研究会』(徳島市)を設立。1兆円市場と云われている畜産・水産飼料市場において、抗生物質を使わず、環境を汚染せず、耐性菌を生じさせない、安全素材の事業化を目指している。

第1期 科学技術庁の指定と基盤技術の確立

●自然免疫賦活技術研究会の設立
2001年、自然免疫賦活技術研究会(代表/徳島文理大学杣教授)を設立。事業目的は、【学】の基礎研究成果を【産】に技術移転し、【官】との協調のもと、健康で長生きに役立つ製品を【民】に提供することである。

2002年度、科学技術庁(現文部科学省)の地域研究開発促進拠点支援事業の指定となったのを契機に、自然免疫賦活技術研究会では重点的に研究を推進していくことができた。

●自然免疫賦活技術とは
「賦活(ふかつ)」という言葉は普段あまり耳にしない。辞書をひくと「活力を与えること、活性化させること」とある。本来、生物には、自然治癒力、免疫力という『力』が備わっている。その『力』が十二分に発揮できれば、薬や抗生物質の使用量を減少させることが可能である。自然免疫賦活技術とは、まさに生命の持つメカニズムを蘇らせる【物質の発見】とその【生産技術】である。

●物質の発見
1991年、杣教授は小麦から低分子の糖脂質を発見した。これには、次の優位性があることがわかった。
○古代から人類が食べてきた小麦共生細菌から発見されたことから高い安全性を持つ
○細胞レベルで異物を包み込んで食べてしまうマクロファージ(大食・貧食細胞)活性化作用が強力

基礎研究を継続することで、さらに以下の確認ができた。
○マウスなどの実験でサルモネラ感染などを防ぐ効能があること
○少量で効果的な自然免疫賦活機能を発揮すること
○広範な疾病に対する予防・治療効果があること

おりしも「食用動物への抗生物質使用のリスクに関するレポート」(2002年、WHO)が提出されたり、EUにおいて家畜飼料に抗生物質の添加が2006年までに全面禁止になるなど、この糖脂質には時代が求めるニーズへの可能性を秘めている。

●生産技術の開発
もう一つの課題は、安全・安価で安定した供給を行うための生産技術である。
現行では、小麦粉から直接単離するためには膨大な量の小麦粉を必要とするなど高コストとなる。さらに、動物成分で培養することからBSE発生のような思わぬ危険性がゼロではない。
そこで、杣教授らは、すべての基質を植物成分由来とする発酵生産方式を発明し、プロセス、生産価格ともに、工場スケールでの大量生産に見合う生産の基礎技術を開発し、自然免疫賦活技術の産業化の可能性を広げた。

●畜産・水産養殖分野への展開・・・
自然免疫賦活化により畜産・水産養殖産業において感染を防除するには、いくつかの要件が必要となる。例えば、
○経口・経皮で摂取できる利便性、汎用性
○天然物由来素材の安全性
○少量で効果がでる経済性・低環境汚染性
○様々な製造条件・使用条件での安定性、効果の再現性
○大量かつ安価に製造が可能であること
○生分解性であること      など

これらの課題解決への取り組みが、研究会の主な活動内容となっている。特に、研究会メンバーに、畜産業者・水産養殖業者が加わっており、現場からの生のニーズに柔軟に対応できるところに特徴があり、研究開発の効率化が図られている。

第2期 文部科学省「産学連携研究推進事業」(15年度)の選定

●自主研究会としての改組拡充
2003年度、徳島文理大学(村崎正人理事長)が文部科学省の「産学連携研究推進事業」に選定された。これ以降、研究会は、大学の支援を受けながら自主研究会として改組拡充を図っていく。研究会メンバーは33名になり、特に、【産】側は徳島県内企業に留まらず、関西や関東の企業も加わっており、事業家への期待が高まっている。昨年7月には、生体の免疫力を高める効果を生かして、保湿クリームの事業化を図る企業も出てくるなど、【学】の持つ技術成果を【産】へ技術移転し【民】(市場)へ提供するという好循環が生まれつつある。

●『アグリビジネス創出産学官連携シンポジウム』
昨年12月、農林水産省が主催、経済産業省、文部科学省が共催した『アグリビジネス創出産学官連携シンポジウム』が岡山市で開催された。自然免疫賦活技術研究会では、10枚のパネルを出展し、プレゼンテーションでは杣研究会代表者が成果を発表した。参加者からは熱心に質問を受けるなど、効果的な情報発信ができた。

第3期 NPO法人の設立に向けて

●新たなステージへ
研究会に関する情報を公開し、市民の信頼を得るとともに、社会貢献活動をより活発に推進するため、特定非営利活動(NPO)法人の設立手続きに着手している。
NPO法人の活動分野は、自然免疫賦活をキーワードに次の3項目を予定。
1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2.科学技術の振興を図る活動
3.経済活動の活性化を図る活動

●最後に
畜産・水産飼料は日本全体で年間約1兆円(約2,500万トン)の市場があると云われており、魅力のある分野である。一方、畜産・水産養殖産業における環境との共利共生を図る感染防除技術は世界的なニーズである。自然免疫賦活技術研究会としては、本技術開発成果をもとに、徳島県から日本全国へ発信し、さらには世界的な技術として発展させていくことが、今後の目標である。

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